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銀行への申し入れ [石炭火力発電所]

  
今、世界の金融機関では、石炭火力発電等に対し、融資を控える運動が高まっています。これを「ダイベスト運動」と言います。日本国内でもその機運が高まってきていることから、私たちの会としても、赤道原則(民間金融機関が大規模なプロジェクトに融資を実施する際に、そのプロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮されていることを確認するための基準です)に参加している銀行に対し下記のような申し入れをしています。
                                Kawakami

農林中央金庫 
プロジェクトファイナンス部 赤道原則ご担当者様
袖ケ浦市民が望む政策研究会
石炭火力を考える東京湾の会
認定特定非営利活動法人気候ネットワーク

貴行における石炭火力発電事業への対応方針に関するお願いとご質問
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
貴行におかれましては、赤道原則(に署名されており、持続的環境維持の配慮を含め、公共的責任と広範な社会的責任を認識して投融資をされると謳っておられます。

 ご承知のとおり、2016年11月に発効したパリ協定では、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という長期目標が掲げられました。先月公表されたIPCC特別報告書『1.5℃の地球温暖化』では、2℃以上ではなく、1.5℃に抑えることによって多くの気候変動の影響が回避できることが強調され、今後、脱炭素に向けた取り組みが加速することが予想されます。

 こうした流れにおいて、二酸化炭素の排出量が大きい石炭火力発電所に対する反対の声が年々高まっており、金融機関が石炭火力から投融資を撤退する動きも目立ってきました。日本においても、本年に入って3メガバンクが石炭火力発電所への融資に関するポリシーを制定した他、三井住友信託銀行、りそな銀行が新規石炭火力発電所への融資は行わない旨を公表しています。貴行におかれましても、一刻も早く石炭火力発電所への投融資を行わないことを宣言されることを切に願います。

 加えて、私たちは、袖ケ浦市中袖に建設予定の「(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所」の計画に対して、地域の大気汚染の悪化や地球温暖化に対する影響について大きな懸念を抱いており、建設に強く反対をしています。同火力発電所は、貴行が主要銀行として取引されている出光興産株式会社が共同出資した株式会社千葉袖ケ浦エナジーによる事案であり、貴行に融資の打診が来る可能性が高いと考えております。仮にそのような場合でも、パリ協定の下で目指される脱炭素社会の実現に向け、融資を差し控えるご決断をして下さるよう強くお願いいたします。

 関連して、今後の貴行の方針につきまして、確認をさせていただきたいことを次頁に取りまとめました。これに対しご回答をいただきたく、お願い申し上げます。また、本件について、ぜひ私たちと対話を持っていただきたくお願いいたします。

▼ お問い合わせ及び、質問へご対応いただける場合の連絡先:   

認定特定非営利活動法人気候ネットワーク 東京事務所  担当:桃井
  TEL:03-3263-9210   FAX:03-3263-9463  e-mail:tokyo@kikonet.org
末筆ながら、貴行のご発展と、誠実にご対応頂けること


確認・質問事項
1)(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所への融資の可能性
貴行におかれまして、(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所の建設計画に融資を検討される可能性はありますでしょうか。

以下は、検討される可能性がゼロではない場合に、確認をさせていただきたい事項です。

a)代替案分析について
貴行が署名している赤道原則では、温室効果ガス排出量が CO2換算で年間 10 万トン超になると見込まれるプロジェクトについては代替案分析を実施することとしています。(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所の年間CO2排出量は推計で1,200万トン超であり、この対象となりますが、代替案分析はされるのでしょうか。またその結果、融資を見送るという可能性はあるのでしょうか。

b)ステークホルダー・エンゲージメントについて
ステークホルダー、特に地域住民の意見は事業者が優先して配慮すべき事項です。(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所は、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが実施した意識調査によれば、8割以上の人が建設計画を知らず、十分に周知しているとは言い難い状況にあります。その中で、出資者の一つである東京ガス株式会社は、地元の反対運動などを受け、石炭火力発電所の建設には慎重な検討を行うとの立場を示し、石炭火力を考える東京湾の会と直接意見交換の場を設けるなどしており、計画撤廃あるいは変更に対する地域住民の期待は高まっています。
この状況について、貴行はどのように受け止められますか。また改善に向けた支援などをしていただけるのでしょうか。

c)周辺住民の人権について
現在日本で実施されている環境アセスメントでは、周辺住民への人権等は、評価対象になっていないため、人権に関してどのような検討がされたか不明です。しかし、(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所は、設備容量が200万kW(100万kW×2基)と、東京湾沿岸で計画されている石炭火力発電所の中では群を抜いて大きく、周辺住民への影響は無視できません。この点について、貴行は審査の際にどのように判断されるのでしょうか。

d)パリ協定との整合性について
パリ協定の発効以降、赤道原則に対しても、パリ協定との整合を求める声が世界中から寄せられるようになっています。この状況において、貴行としては、投融資案件審査において、石炭火力(超々臨界)の継続ということとパリ協定との整合性について、今後どのようにお考えでしょうか。



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