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日系人に対する棄民政策 [移民政策]

 数日前移民政策について2回にわたって書いた。バブル期に3K職場の(汚い、きつい、危険)労働者不足で、外国人の労働力を受け入れる際、日系人を優先して扱った結果、どのような状態に陥っているかということを報告し、このことは、日系人を労働力の調整弁として扱っていることであり、一度目は戦後の人余りで外国へ追い出し、それによって、労働力が不足になれば、レートの差を利用して引き戻す。そのことで日系人社会が崩壊することなど全く気にすることはない。すべて大企業における労働力調整弁の役割を果たされていることを指摘したものであった。

 東京新聞12月20日号は、「日系人は置き去りか」と題した社説を掲載している。シャープ亀山工場では、スマートフォン部品の生産が、今年に入って親会社のホンハイ精密工業の、中国拠点に移った。このため三次下請け会社を通じて働いていた日系人が次々と仕事を失い、その総計が2900人にも及んだという。

 短期契約を繰り返す非正規雇用の雇止めは、好況の時には限度なく増え、不況になるとあっさり雇止めになる。すべて大企業の調整弁としての雇用形態となり、その処理は自治体任せで、法律を作った国はその責任を負わない。正規雇用で、将来に不安を持たず希望に満ちで働くことのできる雇用制度はこの国にはない。ないどころか、問題が起きても修正しようともしない。

 私は、10年間南米でボランティア活動を続けてきた。南米の日系人の間では、ひそかに、この日本の雇用形態を扱う業者を「人買い」と呼び、労働形態を「皮をかぶった奴隷制度」と呼ぶ。
この非人道的制度をこのまま許しておいてよいのか。腹の煮えたぎるような思いがしてならない。

                             kawakami


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移民政策  2 [移民政策]

 アルゼンチンには約3万人の日経移住者が住んでいる。そのうちなんと8割の人たちは「沖縄県人」で「沖縄会館」は、日本人会館よりも立派である。首都ブエノスアイレスから40キロぐらいのところに、キルメスという町がある。この町の中心街で花屋さんをしている方と知り合いになったので、その方の移住の話を聞こうと思い訪ねた。
 「ご苦労されたでしょう・・アルゼンチンまで来られた話を教えください。」
とお聞きすると、苦労話には答えず一言「アメリカと日本政府に騙されてきたようなものですよ。」と言ったきり口を閉ざしてしまわれた。

 日本政府は南米移民政策が国策であったということをいまだに認めていないのです。(国会予算委員会答弁・裁判証言)
 
 なぜこのことを書いたのか・・移民には送る側と、受け入れ側がある…その送る側の姿勢をまず明らかにしたいと思ったからなのだ。

 東京新聞記事を以下並べてみる。(手元にたまたまあった新聞で、ぬけている日時には、まだまだ記事があったはず)

▼ 11月17日  失踪実習生データ誤り…失踪した実習生2892人のうち2514人が「より高い賃金を求めて」失踪したと説明したものが、実態は「指導が厳しかったもの」「暴力を受けたもの」「帰国を強制されたもの」等の項目が加えられ、実習生が劣悪な労働環境であったことが明らかになった。

▼ 12月4日  失踪実習生3人に2人が全国最低賃金(714円)を下回っていることが明らかになる。その上1割が残業時間80時間以上の過労死ラインを上回り、平均月収10万8000円)であった。

▼ 12月7日   実習生69人死亡  2015年から2017年の3年間・・溶接・水産加工・配管・養殖・とび職等の亡くなられた職業が並んでいる

▼ 12月8日  入管法改正案成立…内容は政府に白紙委任・・わずか35時間の討議・・低賃金、使い捨て、過酷な労働改善は? 実習生への人権侵害明らかだというのに・・

▼ 12月9日  改正入管法未明に成立 詳細未定  参院本会議の採決である

● 「働き方改革」「消費税増税」「外国人労働者受け入れ」…いずれも大企業の要望を実現させたもので、その見返りに巨額の献金が自民党に流れ込んでいるという構図を、赤旗日曜版が指摘している。

◎ 日本という国の移民政策は、送る時も、受け入れる時も、全く同じ姿勢であることにがっくりする。たしかNHKであったと思うが、「技能実習制度」と同じ制度が、韓国にもあるそうだ。韓国の場合、その受け入れの責任は、国が一切の業務を取り扱う。在留中の扱いについても国の機関が行っているという。日本はすべて民間にゆだねている。そんな報道があった。
 韓国への希望者が、最近は増えてきて、日本への希望者は激減状況であるという。恥ずかしいことだ。ザル法であることがはっきりしている「入管法」・・・その白紙委任の今後の動向に厳しい目を注ぎたい。
                          Kawakami


 


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移民政策 1 [移民政策]

袖ケ浦市内にもいろんな職種で「技能実習生制度」を利用して働いている労働者に会うことがある。明るい顔で仕事に熱中しているこれらの人たちを見ると、心がほっとするが、新聞紙上で、この制度の問題点が、次々と明るみに出ているのを見ると、大丈夫なのかな?という気になったりする。この「入国管理法案」とはいったいどういう法案なのか・・・一度光を当ててみることにする。

 1990年、日本は60年代からの高度成長で労働力不足に陥り、特に3K職場(きつい、汚い、危険)と言われる単純労働に従事する労働者不足に悩んでいた。その解決策として、外国人労働者の雇用問題が論議されたのだが、直接外国人を雇用することを避け、日系人の就労を先行させたのである。出入国管理法の改悪である。今まで外国人の就労ビザは、専門職以外発行されなかったが、日系2世、日本人の配偶者等には、3年間の労働ビザが発行されるようになった。これは別な観点からみると人種差別的改悪であった。

 為替レートの関係で、10万円の日本円を送金すると、パラグアイでは50倍のレートだから10万円が500万グアラニーという金になる、4人家族で2か月は生活できるのである。
かくて90年代に入って雪崩のごとく日本への出稼ぎ者が流入することになった。
下の数字は厚生・労働省…就労する外国人の統計跋渉である。

      日系人労働者    外国人総数
1990年    71,803      260,000
1996年       211,169 630,000
2000年     233,187 710,000

 ペルーでは日系人8万人のうち4万人が日本に来ているという報告がある。(島本篤エルネスト氏)。ブラジルからは日系人120万~130万人と言われているが、日本への出稼ぎ者は25万人を超えた。これら出稼ぎ者のほとんどは、青年から壮年であり、かくて日系人社会を支える年代が喪失したのである。ブラジルサンパウロの日本人街は、韓国人街となり消滅していった。

 人口過剰を口実に国外に追い出し、今度は、大企業で人の嫌がる単純労働者が不足だからと言って金で引き付ける。好況・不況の調節弁を日系人が背負わされた。日本の移民政策の根幹に「調整弁としての労働力」という人権無視が横行していることを見逃してはならないのである。  

(続く)



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