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マクロン大統領への手紙と返信 [地球温暖化]

 9月15日の朝日新聞には「猛暑『温暖化なければ起きぬ』」「『気候変動』ではなく『危機』」と題する記事を8段抜きで掲載している。今や、大災害になった15号台風も、17号台風も、その原因は地球温暖化にあることは常識化したといえよう。

 この地球温暖化阻止のためのパリ協定実現を目指す運動の先頭に、エマニエル マクロン フランス共和国大統領は立っている。そこでマクロン大統領が、トランプ大統領を厳しく叱ったように、わが国の安倍首相に対しても、厳しく対応していただきたい要請の手紙を、私はマクロン大統領あてにG20以前に発送した。なんとその返信が、大統領府事務総長の名で届いたのである。
その手紙と返信を紹介する。通訳は教え子の母親の友人・フランス人ご夫妻(奥様が日本人)がしてくださった。

 フランス共和国
大統領 エマニュエル・マクロン  様

                        かわかみ ひろし


 2017年6月1日深夜、あなたは、パリの大統領府からテレビ演説をされました。その時の文言は、今も強烈に私の胸に焼き付いています。
 パリ協定を離脱した米国・トランプ大統領に対し「米国民に対しても、地球の将来にとっても間違いをおかしたことになる」と断言され、「プランB(代替案)はない。地球Bはないからだ」という歴史的な発言をされました。そのうえで、ドイツなど欧州や世界のパートナーとともに「パリ協定での責任を果たし、温暖化との闘いを続ける」と強調されたのです。

 以降2年間、地球温暖化防止のための世界的取り組みは、人類の存亡とかかわるのだという認識となって国境を越えて、急速な広がりと、深化を見せ、「化石燃料から自然再生エネルギーへ」という呼びかけは世界の常識となりつつあります。

 私の住む東京湾岸には、4か所の石炭火力発電所建設計画がありました。しかしこのうち3か所について、パリ協定実現を目指す市民運動を展開することで、計画断念に追い込むことができたのも、世界の趨勢が大きな力となって後押ししてくれたからであろうと思います。

 一方、パリ協定は2050年までの長期戦略を、2020年まで提出するよう、各国に求めています。
日本国は本年6月に開催されるG20大阪サミット(6月28・29日)で気候変動を重要な議題のひとつに位置づける意向を示しました。そこで日本はこの機会に、議長国として、日本の「長期戦略」を提起すべく準備にかかりました。しかし残念なことに、この「長期戦略」は、パリ協定が示す水準から見ると決して満足できる内容ではありません。

 私は現在87歳の高齢者です。残された人生も数える程度です。しかし自国を愛するだけではなく、地球人類の生存のために、尽力されているあなたの姿に、私も重ねたいと願います。

 あなたの一層のご健闘を祈念します。そして機会があれば、我が国日本政府へ、米国に対しての発言と同じく、善意に満ちた厳しい忠告をしていただきたく願い、お手紙を差し上げた次第です。フランスと日本の一層の友好と親善が深まると同時に、パリ協定が一歩一歩実現に向かって力強い歩みを続けますように、そしてその先頭にいつも、マクロン大統領が輝いていらっしゃることを祈り、私からの手紙といたします。

 

 フランス共和国大統領府事務総長
                        川上ひろし様
                      2019年8月27日 パリ
 
川上 様  フランス共和国大統領は、貴殿が大頭領宛て送られた書簡を拝受し、
    私に彼に代わって答えるよう任されました。
     
貴殿の行動は、意見交換や対話のアプローチであり、おおいに注目された事である事を御確心ください。                                    
     (どうぞ、私の最高の気持ちを受け入れてください)敬具
                     フランソワーグザヴィエ ロッシュ


       

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