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避難者にすらさせてくれない [原発災害]

 東京新聞5月31日朝刊一面に、大きく「原発賠償増 協議打ち切り・・東電和解案拒否」との記事が掲載されてありました。

 私の手元に、先日友人から1冊の小冊子が届けられました。「詩・布絵・短歌集」です。
著者は青田恵子さん。現在滋賀県大津市に住んでいらっしゃる。7年前までは福島県相馬市(旧相馬郡小高町)に住んでいらした。~「相馬野馬追い祭り」で有名~
 今日はこの詩集の中から、3.11琵琶集会に寄せて書かれた詩を一編お届けする。 kawakami

避難者にすらさせてくれない   青田恵子

私の身体は福島の土で出来ている
私の心は福島の風と森の匂いで出来ている
一年目
福島が恋しくて恋しくて帰りたかった
帰ればたちどころに
やわらかい土に同化し
心は森の奥深く吸い込まれそうだった
二年目
早くも避難指示区域が解除された
私の身体にザラザラとした砂が混じり始め
森の匂いは消えていった
三年目
四年目
私の身体に
セシウムの入った除染土が混ぜられ
心のひだに汚染水がにじむ
五年目
六年目
ついに仮設からも借り上げ住宅からも
追放された
私の身体は土偶のように焼き固められ
心はひび割れ燃え尽きた
七年目
難民となる
もはや避難者にすらさせてくれない
避難者ならば手厚い保護を受けさせてよ
国策の犠牲者に罪をなすりつけないでよ
やさしさと同情の温かい手ぐらい
差しのべてよ
もはやこの国にそんなものはない
この国の難民にさせられた
明日の難民はあなたかもしれないのだ
 
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