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横須賀の海も [漁業]

 NGO/NPO・ FoE JAPAN という組織がある。 Friend of the Earth Japan (FoE Japan)の略語で「地球上のすべての生命(人、民族、生物、自然)が互いに共生し、尊厳をもって生きることができる、平和で持続可能な社会を目指します。」というのが活動理念である。世界中で200万人のサポーターがいるという。本拠はオランダ。その日本組織の名称である
 さてこのメンバー、以前にも紹介したが、若者が多い。「大気と水は人権」学習会で報告してもらった高橋英恵さんもそのメンバーの一人である。彼女は今、横須賀の石炭火力発電所建設反対運動に飛び込み、次々と報告を寄せている。

 「東京湾が死んだ日」というルポがある。それは京葉コンビナート建設にかかわるルポであるが、対岸の横須賀の海はどうなっているのか。そのひとつを紹介する。  kawakami

 ★「自然を元に戻してほしい」横須賀の漁業者を取材して 投稿日: 2020年2月3日 投稿者: Friend of the Earth Japan (FoE Japan)

 1月21日、横須賀石炭火力訴訟の原告団長と弁護士とともに、裁判への意見陳述の準備のため、横須賀で漁業を営む方を訪問しました。
 その漁師さんは視突漁(箱メガネで海の中を覗きながら、銛や網を用いて魚介を獲る漁法)を営んでおり、今回、その漁場の一部を案内くださいました。
 船で漁場に向かい、海底を箱メガネで覗いたところ、海底の砂がよく見え、ところどころにウニが見られるような状況。

 海底を皆で交互に見ている中、「何も見えないでしょ?」と漁師さん。
彼の言葉に戸惑う私達に、漁師の方はこう続けました。
「昔は、この時期になるとカジメやアラメとか、海藻の芽がこの辺り一帯に芽吹いていたんです。でも、10年くらい前から少なくなって、この2年で激減。今年なんか、このように、もう100%なくなってしまった。」

 アラメやカジメなどの海藻の芽吹いていた時は、岩場が真っ黒になっていたそうです。しかし、現在は、海藻のようなものは一切見当たらず、岩肌が見え、ウニしか生息しないような状態に。地上で例えると、土地が砂漠化し、木が生えてこなくなってしまう状態と一緒だとおっしゃっていました。つまり、東京湾では既に、”海の干ばつ”が起きているともいえます。

 海藻がなくなることは、貝や魚の住む所が失われることと同じです。
また、そのような環境で生息しているウニにとっても十分な食糧が無いため身は無く、商品にできないとのこと。ウニもギリギリで生きているので、海藻の種を植えても、ウニに食べられてしまうそうです。

 天気の変化においても、この地域では今まで冬になると西風が吹き、それによって岩場が洗われ、海藻が芽吹く土壌が形成されるとのこと。しかし、風が吹かず、そのサイクルがなくなってしまったのではと漁師さんは言います。
「海が死んでいる」
漁師さんはそうおっしゃっていました。
 東京に住んでいると、気候変動や環境汚染の影響は分かりにくいと思います。
しかし、自然を相手にする漁師さん。天候や海の状況、すべてが昔と同じ感覚では考えられないとのこと。
 このような変化の原因が気候変動によるものかはまだ解明されていません。しかし、海の環境が年々悪化しており、そのせいで、江戸時代から受け継がれてきた方法で海藻をとり、生活をしてきた漁師さんの生きる術が失われつつあることは確かです。
「自然を元に戻してほしい」
それが彼の願いでした。

 横須賀石炭火力新設を問う行政訴訟は2019年5月に提訴。2019年10月2日、2019年12月23日と裁判が行われました。
 次回期日は3月23日(月)14:00~、場所は東京地方裁判所(東京・霞ヶ関)です。裁判後、同裁判の報告会を会場近くの日比谷図書館にて開催します。
法廷に入廷できなかった場合も、裁判の様子はこちらの会にて裁判の報告をさせていただきますので、ぜひご参加ください。

(鷹啄りな・高橋英恵)Foe JAPAN ブログ

海底のウニ.PNG


    
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