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おびつ川通信 [産廃処理場]

 「小櫃川の水を守る会」機関誌「おびつ川通信」第74号が発行された。「新井総合施設株式会社君津環境整備センター」第3期増設に対し、目下、行政の不当性を突く行政裁判と、工事差し止めを求める民事裁判が行われていることを巡って、その問題点と、ミニ学習会のまとめが報告されている。このほか、総会の報告と、会が30年間取り組んでこられた報告も連載で掲載されている。
 ここでは、裁判闘争の問題点を明確にした冒頭論文を先ずは紹介したい。 kawakami


★ 今回の裁判では一体、何が問題なのか?      佐々木悠二

1.事業者のⅢ期増設アセスの問題点

 処分場が漏れたら久留里の上総掘りが汚染されるかどうかは、争点の中心部分である。事業者は、環境影響評価書*(以下アセス)の準備書の段階で専門家から「処分場が漏れたら、地層が違っていても久留里の地下水は汚染される」との指摘を受けていた。しかしアセスにそのような記載は一切なく、逆に「地層が違うので井戸に影響を与えない」とアセスで一貫して主張している。

なぜ事業者は「処分場が漏れたら、地層が違っていても久留里の地下水は汚染される」との専門家の指摘をアセスで記述しないのか?
 それは、上記の指摘を受け入れた場合は、万一漏れた場合に地下水の汚染を防ぐ方法もアセスに記載する必要が生じるからだ。アセスのはその記載はない。これでは万が一処分場が漏れた場合には地下水の汚染を防ぐ事ができない。
 環境の保全に配慮できていない、重大な欠陥を抱えているアセスはやり直す必要がある。

*環境アセスメントとは?
 土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事 業者が、その事業の
実施にあたり、あらかじめその事業の環境への影響を調査・予測・評価し、
その結果に基づき、環境の保全に配慮した事業を行なおうとするもの


2.Ⅲ期増設を許可した千葉県行政の3つの問題点 

 Ⅲ期増設のアセスには重大な欠陥があることは上記で述べた。
 では、千葉県によるⅢ期増設許可は正当な行政行為であったか?

 私達住民は、何度も千葉県に足を運び、Ⅲ期増設のアセスの欠陥を指摘した。Ⅲ期が許可されれば、私達の生活の根幹である上総地区の自噴井戸の水や河川水が汚染され、生活を脅かされる可能性を訴えてきた。
 許可する前にアセスのやり直しを求めた住民の請願が全会一致で採択された。君津市議会も君津市も同様の意見書を提出した。
 しかし千葉県は住民の不安の声も地元自治体の意見も無視してⅢ期増設を許可した。

◆ 問題点の第一、住民の福祉の増進を図ることより、企業の営利活動を優先している。地方自治法に反する行為あり、認められない。

*地方自治法「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」

◆ 問題点の第二、許可の前提となるアセスに、地域住民の安全な生活脅かす重大な欠陥(公益に反する欠陥)があることを知りながら許可を出した事は、重大なか瑕し疵*にあたる。
 従ってⅢ期増設許可は取り消しの対象となる。

* か瑕し疵とは?
行政行為は、合法で公益に適合していなければならない。しかし、中には 実体的・手続的に法律・公益に反する欠陥を抱えた行政行為もある。この 欠陥のことを瑕疵といい、瑕疵ある行政行為は取消しの対象となる
 
◆ 問題点の第三、許可に至る経過。
 2018年7月2日の県議会・環境生活警察常任委員会で、住民から出された請願書が議題になった。「処分場から漏れても井戸に影響は与えない、と事業者から説明があったが」と議員から問われた際に、廃棄物指導課長は、「環境影響評価の準備書には地層が違うから影響はないと、委員ご指摘のような記載があったのでございますけれども、その後に出された環境影響評価書では、そうした記載は削除されております」と虚偽の答弁をした。

 こうして複数の議員から出された疑問を封じた結果、請願は継続審査となり、県議会休会中の8月6日に県はⅢ期増設の許可を出した。
 この虚偽の答弁は明らかに「手続的に法律・公益に反する欠陥を抱えた行政行為」で、まさにか瑕し疵にあたる。従って許可は取り消されるべきである。

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