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水は全ての命の源です おびつ川通信  [産廃処理場]

 「おびつ川通信」松崎恵子さんのエッセーです。   kawakami

 もう一度立ち止まって暮らしを見つめ直すとき

  松崎恵子

 私は38年前にこの地に嫁いできました。何より驚いたのは、山がどんどん崩され、ダンプが毎日ひっきりなしに通ることでした。都市部の開発、海の埋め立てに君津の山砂が最高ということで、山がどんどんなくなっていく状況は今も変わりません。
 山がなくなれば、水が暴れ、ついには豊かな自噴井戸も涸れてしまうでしょう。
若造がいくら訴えても、変な嫁扱いされるばかりでした。緑豊かな地域に住んでいると、それは当たり前のもので、どんなに素晴らしい恩恵に預かっているか、わからなくなるのでしょうか?全て失って、呆然と立ちつくす前に手放すことを破壊することをやめなければ、子々孫々に私達が残すものは負の遺産になってしまいます。

 ゴミの問題も然り、誰かのせいではなく、私の問題として、考え行動しないといけないなと思い直しました。
 私が嫁いだのは稲作農家だったので、家計を譲渡された時点で農薬の使用をやめた農業に切り替えました。家庭で使う洗剤もなるべく川などへの負担のかからない石けんに変えたりしていきました。豊かな里山の循環の輪の中で暮らしていくことが、未来の人々に残す事が出来る最良の財産と考えています。

 今回の水源地への産廃場建設を県が許可したという事実にはもう驚愕、呆然、誰が考えてもおかしいことを、平然とやってのけた県に対して怒りを通り越した感情が火山のように噴火しました。といってもこのような荒ぶる感情は何もいいことはありません。

 ヒトは想像できる生物です。山を崩すことを想像してみれば、山に棲む生き物達はすみかを奪われ命を落とし、もっと小さな昆虫や微生物、生態系は崩される。水は行き場を失い暴れ、最悪、命の水は汚染される。全てを養う植物を根こそぎ切り倒し、自然の大いなる治水ダムを破壊するということがどういうことなのか想像してみれば、私達がどんなものにも替えられない宝を手放していることに気付くのではないでしょうか。無くしてからでは遅いのです。

 美しい夕陽を眺め、木々のそよぎに耳を傾け、清涼な水の流れに足を浸し、子ども達が安心して暮らせること。今、私達はもう一度立ち止まり、自分の暮らしを見つめ直すときに来ているのだろうなあと、誰のせいでもなく自分の問題として、このことに向き合っていきたいなと思っています。
長きに渡り、郷土の清流を守ることに尽力されてきた小櫃川を守る会の方達に敬意を表します。ありがとうございます。
【水は全ての命の源です】県の許可はどう考えてもおかしいです

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