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「ハンセン病控訴断念に思う」 [障害者問題]

 毎月私の手元に北海道にある「しらおい障がい者と手をつなぐ会」の機関紙「ほほえみ」が送られてくる。同僚であった友人の、佐藤春光さんが現職時、障がい児問題に取り組んでこられ、退職と同時に生涯の仕事として多機能型事業所「フロンティア」を立ち上げ、現在は、白老から登別にも、障がい者が生き生きと働く職場を目指した活動を続けているすごい人である。
 ほかの事業所と変わっているのは、支援者が白老町内の行政OBを含めた広範囲の方々に及んでいて、絶対の信頼と、その信頼にこたえる取り組みをされていることだ。
 
 寅さんの映画で有名な山田監督、教育問題の尾木ママなどとの交遊もある。彼のアイデアがすごい。鶏は昔風の広い農場での放し飼いでの有精卵。その卵を1個30円での購入者を募り、定期的に自宅に届けてみたり、今回の「ほほえみ」には、アイヌ文化に学びながら、指導者を招きアイヌ文様の刺繍を学ばせ、その中から優れた作品が生まれつつあるという。

 その彼が、怒りを込めて書いてある文章がある。それが『ハンセン病』についてである。紹介する。 kawakami

 ハンセン病はらい病ともいわれていますが、日本では医学的根拠のないまま隔離が始まり、昭和6年の旧「らい予防法」で強制隔離が法制化されました。旧優生保護法と同様、不妊手術や中絶手術の強制など人権侵害が国の方針で行われました。薬の開発で治療法が確立された後も差別や人権侵害が続きました。法律は平成7年に廃止されましたが、各地の国立療養所には家族の元や、故郷に帰ることのできない元患者が今も生活しています。家族も同じような差別を受けてきました。今でも声を出せずに生活しているのです。

 それほど国が旗を振って行われた差別や差別意識は、大きな重さをもって一人一人の人生を壊してきたのです。差別されることを承知で、何度も何度も声を上げ続けてきた結果、やっと家族への差別が認められました。しかし人生が踏みにじられた代償が高い人で140万円なのです。日本という国の人権意識のバロメーターがこの金額なのだと思います。
 旧優生保護法では、手術を受けた当事者への保証が320万円です。しかし「不妊手術は当時は適法だった」という位置づけをされています。差別思想の根源が残されたままです。

 交通事故で生殖能力を失う後遺症がある場合の慰謝料の基準は1000万円以上です。320万円、140万円という低い保障金額が、差別を放置し助長してきた国の「思いやり」予算の金額なのです。
 痛みを受け続け、今後も痛みを受けていく当事者の声は、この予算に反映されていません。とても悔しく残念です。

 
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