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治水対策のあり方をめぐって    ~千葉県のすぐれた事例~③ [小櫃川の水を守る会]

千葉県自然保護連合 中山敏則
*総合治水対策への転換を
いま求められているのは総合治水対策である。総合治水対策というのは、堤防強化、放水路・分水路の建設など河道の治水施設の整備だけでなく、全流域を考慮した治水である。流域における対策には、調節池・雨水貯留施設の設置、透水性舗装の推進、各戸貯留の奨励、盛土の抑制のほか、水害に安全な土地利用なども含まれる。
 千葉県の市川市を流れる真間川の流域では、たいへんすぐれた総合治水対策が実施されている。これは市民運動によって実現した。
 真間川ではかつて、約400本の桜並木を河川改修工事で伐採するという計画がもちあがった。市民は「真間川の桜並木を守る市民の会」を結成し、対案をしめして桜並木の保存を訴えた。対案というのは、「河川を改修しても水害を防ぐことはできない。必要なのは、遊水地や雨水貯留施設の整備などを含めた総合治水対策をすすめるべき」というものだ。
長年にわたるねばり強い運動の結果、県は、真間川流域の治水対策を河川改修一辺倒から総合治水に方針転換した。約400本の桜並木は半分が残され、残り半分は河川改修後に復元された。遊水地や分水路、雨水貯留施設の整備などがすすんだ。
 その結果、真間川流域の浸水被害は激減した。真間川流域は1981(昭和56)年、台風24号による豪雨で大きな浸水被害が発生した。その後三十数年間で世帯数は1.7倍に増えた。だが総合治水対策を推進した結果、浸水被害は徐々に減少し、1996年以降は下流域の中心市街地における浸水被害はおおむね解消された。総合治水対策の成果である。真間川流域では、「自然環境の保全・復元」や「動植物に触れ合える環境学習の場」を兼ねた調節池(遊水地)づくりもすすんでいる。

図は総合治水対策の模式図
〔図2〕総合治水対策.gif
写真は真間川流域の総合治水対策の一環で整備された大柏川第一調整池(市川市)。
ふだんは「動植物に触れあえる環境学習の場」として利用されている。写真は野鳥観察会の様子。
〔写真2〕大柏川第一調節池.jpg
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