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交通移動手段を考える集会報告 寄稿 [公共交通機関]

 5月31日の13時30分より、富津のまちづくりを考える会による「交通移動手段を考えるための集会」が、上総湊にある富津市民会館2階の会議室で開催されました。

 この集会は2部構成で、前半を富津市による公共交通やデマンドの形態の説明、後半を参加者による質疑応答と質問の時間という形で進められました。

 まず富津市からの説明があり、企画課の公共交通係の赤井聖さんより、資料を「地域公共交通に関する運行形態の種類について」と題し、自動車輸送の事業形態について、乗合バス、貸切バス、タクシー、デマンドタクシーのそれぞれの定義を説明されました。デマンドタクシーは、低路線型、迂回ルート・エ リアデマンド型など様々な形態があります。この運行形態の種類については、下記の中部運輸局の資料に載っています。

 一通り、バスとデマンドタクシーの事業形態の説明が終わった後、形成計画の概要が説明されました。形成計画の説明は、内容をそのまま抜粋している感じで、棒読みで内容を読み上げて進められました。資料をただ棒読みしているだけだと、具体的な話が全くないため、現状の交通にどういう長所があり、一方でどんな問題点があるのか、今後の交通のビジョンをどうしていきたいか、考え方がまだ見えてきません。

 今回、この集会の趣旨は、市と一緒に市民が望む地域交通について考えようと、そういう趣旨でやりたかったようで、配布資料をそのまま棒読みしてい るようでは市の職員と、参加者側で求めているものに隔たりがあるように感じました。参加者の様子を見ていると、バスの維持よりデマンドタクシーを望んでいる人が多いです。質疑応答ではデマンドタクシーの導入について活発な議論がなされました。赤井さんの説明が終了後、質疑応答の時間に入りました。

 意見交換では、地元の人を中心にデマンドタクシーについての質疑応答が活発になされました。質問された参加者のすべてからデマンドタクシーを望む声、公共交通が不便で切実な問題だという声がたくさん出ました。

大型の路線バスはもういらない。
デマンドタクシーを地域で運営するにはどうすればいいか。
タクシー会社に委託しなくても自分たちで運営でき る方法はないか。
竹岡のマリーンヒルでは坂が多く、バス停に出るだけでも一苦労だ。マリーンヒルではボランティアで木曜会という組織を作っている。

など様々な意見が出されました。

 特に私が心に響いたのは、竹岡のマリーンヒルに住むおばあさんからの声です。高齢化しても住み慣れた家に住み続けたいが、バスも走っておらず、タクシーはほとんどいない、近所の人に乗せてもらって上総湊のスーパーや病院に行くが、いつも近所の人を頼るわけにはいかない。だから、近所の人ばかりあてにしたくない、迷惑をかけたくないから歩いて行こうと思っても、足が悪くケガすることが心配だ。マリーンヒルは高台にあり、坂が急でとても歩いていけないという悩みを切実に訴え られました。

 マリーンヒルでは「木曜会」として、毎週木曜日に同じ区に住むボランティアの人が困っている高齢者を無料で送迎する自主的活動をやっており、先ほどのおばあさんもそれを利用しています。おばあさんは、木曜会でいつもただで乗せてもらうのは心苦しく、それ以外に移動手段がないから何とかしてほしい。いつも乗せてもらってありがたいが、運賃を払うわけにもいかないと話していました。

 木曜会はタクシーやデマンドのように正式な認可を受けているものではなく、近所同士の助け合いのため運賃をもらうわけにはいきません。これを自家用車で運賃をもらったら白タク行為で犯罪になります。ボランティアの範疇でやるにしても、現在のやり方は協力者がいて成り立っているもの で、ボランティアで乗せるにしても事故があった時の責任は重く、市を主体に何とか正式な形のデマンドタクシーを導入できないかと、マリーンヒルの自治会長より強く要望がありました。

 天羽地区は幹線道路やバス停から離れた区域がかなり広く点在しており、近くのバス停を便利に利用できる地域が極めて限定的です。路線バスは2路線だけで、それだけでは空白区をとても賄いきれません。バスは幹となる交通であり、維持したほうがいいと思っていますが、天羽地区については地域特性を見た場合、あまりに利用できる場面が限定的で、現在の日東バスを維持するだけではとても地域の不便解消にはつながらないと、現地住民の生の切実な声を聞いて確信しました。

 木更 津でも形成計画でデマンドタクシー、地域コミュニティバスの導入を求める声が鎌足や金田といった外周部で出ていますが、木更津の場合、郊外行きのバスを減らすと市街地でもバスの本数が減る、市街地までデマンドがそのまま乗り入れたらバスを侵害することになるなど、都市近郊故の難しい問題があります。

 富津市の考えている導入スキームで、デマンドを導入するとしたら、市原市のデマンドタクシーの運営形態のように、市が半額、残りの半額を運賃収入と足らない分は地元負担という形を考えているようです。具体的に決まったものはなく、天羽地区という大枠でやるのか、小学校区や自治会区のようなきめ細かな形でやるのか、これから要望を受けて詰めていくようです。
 数年前に地元の要望を 受けて、竹岡地区だけで運営する場合の試算を取ったそうですが、年間で500万円かかるとのことでした。いきいきサポートのようなNPOや自治会による自主運営方式は、許認可の問題や事故があった時の責任の問題があるので市では考えていないようです。

 最後に2点目の質疑で、デマンドをやる場合、天羽地区や大佐和地区みたいな大枠でやるのか、それとも竹岡地区、金谷地区、環地区みたいな小分けにするのか、そういった点はどう考えているのか。
 事業を受託できる会社は台数の多い市内の会社で、富津公園タクシー、日の丸タクシー、大佐和タクシーに限られるだろう。かずさ交通は木更津のため受託が難しいのではないか。そもそも、富津市内は駅の規模も市の規模も小さいのに、各駅で違うタクシー 会社が乱立していて、タクシー会社が多すぎる。これを将来的にできるものなら集約したほうがいいと見解を話しました。タクシー会社の経営がどこも厳しく、利害関係が難しい問題になってるようです。


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