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不思議の国へ~障碍者差別解消法施行1年~  その2 [障害者問題]

 (前号の続きです)

 1か月が過ぎ、2か月が過ぎ・・・半年が過ぎたころ、指が1本、2本と動きだし、少しずつ手の機能が回復し始めました。不安な気持ちの私を、家族が動けないままの私を、苦労を承知で「外泊」という手段をとってくれたのです。『1日も早く家に帰りたい』『早く治りたい』そのころからリハビリということで作業療法が始まりました。

 病室から作業療法室までの途中、最初に目に入ったのが院内には珍しい「夏用・クローゼット」「冬用・クローゼット」、「げた箱」と書かれた不思議なスペースでした。後日知ったことですが、入院している人たちの着替え用の衣類が入っていたのでした。
 家族から見放されて、お盆、お正月も面会に来ない。勿論外泊することもない。気の毒な人たちだったのでした。私はそんな境遇の人たちが多くいることの現実に驚きを隠せませんでした。ましてや、現住所が病院の中の『精神科』と聞いたときには、さすがに大きなショックを受けました。でもこれは紛れもない現実でした。

 幸いなことに私は家族が毎日のように顔を見せてくれて寂しい思いをすることはありませんでしたが、この病棟の中のほとんどの人が、寂しく毎日を過ごしていたのでした。

 4人部屋に移ってからは、私が何か行動をしようとすると、「どうしたの?」と優しく声をかけてくれたり「トイレ行きたい」とかいうと、体の不自由な私を気遣って、トイレのドアを開けてくれたり・・・。確かに4人部屋は、きついこともたくさんありましたが、、私は周りの人にたくさん助けてもらうことがありました。

 私は1年間の入院生活を終えて、自宅に戻りましたが、、今でも同部屋だった人からお手紙をもらうことがあります。「絵画展に入選しました」とか「書道を書いたので見てください」とか。
 その人は、私が退院の時に書いてあげた、たった1通の手紙を、今でもお守りの代わりに大事に持って歩いていると聞きました。私はどんなことを書いたか記憶にありませんが、きっと偉そうに(???)何か書いたのかもしれませんね。

 よく精神病の人は恐ろしいとか言われますが、決して怖いことはありません。精神病だけでなく、いろいろな病気を理解することはとっても大事なことと思います。私は日ごろからたくさんの人に、障害を抱えている人ときちんと向き合うことの必要性を感じてほしいのです。

 登別市の障碍者の中には、身体障碍をはじめ、知的障害(発達障害も含む)精神障害等の障害を抱えた人が3200名ほどいます。登別市民16名に1名は何らかの障害を抱えていることになります。健康な人と何ら変わることなくおいしい者や楽しいことが大好きだということを理解してもらいたいと訴えています。
 もっと多くの市民に、皆さんに、いろいろな障害の特性を理解していただける日が来ることを心から願っています。

☆ この文章を寄せてくださったのは『フロンティア登別』の今順子さんです。フロンティアの責任者、佐藤さんの了承を得て紹介させていただきました。

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