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意見陳述書 [環境問題]

 「小櫃川の水を守る会」30周年記念に招かれた川村晃生先生は、今「リニア新幹線建設」に反対し、その先頭に立って戦っていられます。裁判で意見陳述をなさいました。その文章が届きましたので紹介します。 kawakami

2007年4月にJR東海が自社費用で、リニア中央新幹線を建設するとの構想を発表して以来、私たち沿線住民と一般市民は、まさかここまで事態がこじれるとは予想もしないことでした。そして今思えば、それはひとえにJR東海という事業者とそれを監督、指導する所管官庁・国土交通省の傲慢さと、不誠実さによるものであったと指摘せざるを得ません。

 私たちは、これから行われるリニア新幹線の工事によってさまざまな被害をこうむることになります。それはこの、裁判の過程で明らかになるであろう残土処理、水漏れ、騒音、日照、景観、電磁波等、多岐にわたるものですが、問題は、私たちにそうした実害を与えてもなお、リニア新幹線が必要なのだという合理的説明がなされていないことであり、一方的にリニア新幹線を造ることが前提となって事態が進行していることです。したがって当然のことながら、私たちはそれに合意できようはずもなく、私たちの理解が得られないまま着工に至ったのでした。

 さらに私たちは、この工事によってそれとは別に大事なものを失うことも強調しておかねばなりません。その最も象徴的なものは、南アルプスのトンネル掘削による自然破壊でしょう。神々しいまでに美しい威容を誇る南アルプスはこれまで先人たちが敬い、愛してきた大きな世界遺産です。 そしてそうであるがゆえに、ユネスコのエコパーク登録も可能になったのでしょう。自然と人間が共生可能な場として高く評価されたエコパーク・南アルプスに、大きなトンネル穴をあけて、在来型新幹線の数倍ものエネルギーを消費して、時速500kmで通過させようというのですから、リニア計画は自然に対する冒とく以外の何物でもないと言ってよいでしょう。そしてここでも問題は、それほどの犠牲を払ってまで、リニア新幹線が必要なのだという合理的説明がないことです。

 以上の状況を日本国憲法に照らしていえば、私たちは憲法によって保障されている生存権や人格権、また幸福追求権を、一方的に侵害されているということにほかなりません.
(続く)

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