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平井憲夫さんの遺言~その2~ [原発災害]

 昨日の続きです。kawakami


15. 配管はいっぱいあって、原子炉の命なんです。血管と同じです。どれが切れても大変な事故です。 ボイラーの溶接は資格がないとできない。原子炉にはボイラー以外に何十万か所という溶接個所がありますが、これは何にも資格が要らない。誰がやってもいいんです。だから事故が絶えない。

16. パイプが切れてしまうとどういう事故になってしまうか。 これはもう、日本型の事故が起きてると思うんですね。「日本型事故」というのは関西の美浜原発の事故なんかが典型的です

17. 私自身はアメリカやドイツの原発を見ていますが、日本の原子炉ほど設計が立派なものはないです。日本の原発は優秀、というのは設計までの話なんですね。現場で作る所からおかしくなってくるんです。 というのは設計の通りに作られてないから。これは東海村の裁判で漸く認められるようになった。

18. 日本には今、大きく分けて2種類の原発があるんです。 沸騰水型(BWR)、加圧水型(PWR)というんですが、沸騰水型は東北、東京電力、日本原電、北陸電力、中部電力、中国電力、それ以外は加圧水型。美浜原発は加圧水型です。 これには蒸気発生器というのがあるんですね。

19. 直系2cm位のパイプを通して、そこで蒸気をつくると。 美浜原発では何千本と細管があるわけですが、その一本が切れたんですね。絶対に切れることはないと言われていたのが、切れてしまった。その為、海へ放射能を含んだ水を50t、大気へ90億Bqの放射能を放出してしまった。

20. なぜ切れてしまったか。運転中細管は振れるから、振止め金具で止めている。設計には振止め金具を、ここまで入れると記されている。現場ではそれが入らないというので途中で切って捨ててしまっていたんです。振止め金具はその役割を全く果たしていなかった。現場ではそれは当たり前のこと。

21. いくら設計が立派でもその通りにはできてない、これが日本の原発です。 しかしながら、原子力発電所の設置許可をするときは設計をもとに安全審査をするんです。実際出来上がった物は安全審査を通過したのとは違う物。

22. 東海裁判で私が2年前※に証言したのがやっと今年認められたのは、基本設計に比べると、追加・改造・変更で、全く違ったものが出来上がってるということ。 本当はそのつど審査を受けなければいけないけれど、そのままやってしまう。ふたを開けてみたら全然違う物ができてしまう。※講演は96年

23. 家を建てる時、一級建築士の設計が立派でも大工さんや左官屋さんの腕が悪かったらその通りにはできてこない。 日本の原発が全くそれで、日常的に手抜き工事が行われている。工事の業者も、手抜き工事など、本当はしたくないです。でも原発工事の現場ではそうせざるを得ない。※講演は96年

24. 原発は通産省の管轄です。 非常に厳しい検査をされていると思っているかもしれませんが、全く素人の人が、定年2年くらい前に天下りして、地下足袋をはくなんて初めてという状態で見に来る。まともな検査ができるのか。検査を受ける側もちゃんと仕上がったところしか見せません。※講演は96年

25. 法律で、10か所の溶接なら溶接で2か所見せればいいということになってるから、いい所だけ見てもらう。悪い所を見るのが検査役の仕事なんだけど、検査役は全く素人の人。 例えば、溶接をやると後で非破壊検査というのをやります。レントゲンを撮ったり、カラーチェックがあります。

26. 原発の配管はパイプをさせなければならないから、壁や天井から5㎝離した所を通すんですね。レントゲンの機械は丸いストーブくらいの大きさ。5㎝しか隙間のない部分には、機械が入らない。でも検査をする人は、「撮れ」という。 機械が入らなくても、「撮れ」という。

27. そこでどうするかというと、原発の配管はサイズが決まっているから、前もって溶接した物を作っておく。それをレントゲンとして撮り「あの場所を撮った」と提出する。 新聞をよく見ていると、配管にピンホールが開いていたという記事がよくある。原因は、これ。レントゲン撮ってないんですよ。

28. 検査をする人は何もわかっていない、怖さを知らないからそういうことにも気づかない。 日本の原発は、上から下まで寄ってたかって素人が作っているんです。

29. 電力会社は工事に関しては一切口出ししません。 事故が絶えなくなり、職人も集まらない。これには沢山の要因があるんです。 若者が地下足袋をはいて仕事をするかというと、しない。大工さんも後継者不足に悩んでいる。もうこれから先、後継者がいない。 さらに言いたいのは日本の経済構造。

30. 実際に原発で働いているのは、全員が労働組合もない、いわゆる親方にくっついて仕事をしている労働者です。 もちろん賞与もなく、年収は200万以上の人はほとんどいない。生活できますか?※講演は96年

31. サラリーマンは優遇されている。まして最近は、週何十時間だ、土日は休め。 原発の現場で働く人は、一日働いていくらなんです。残業して稼げなくなったら、どうやって生活できるか。やっていけません。だから、どうしてもお百姓や漁師の暇な時の労働なんですよ。飯が食えない。※講演は96年

32. だから私がずっと言っているのは、ドイツのように、マイスター制を導入して、国が職人の生活を保障するというようにやっていかないと、原発をどうするのか、と。

33. もう一つ、これまで大学で花形だった原子力工学を専攻している大学生は日本に一人も今いません※。 東大でも原子力工学部が無くなりました。これからは研究する人もいない、現場にもプロがいない。さあどうするんだ、と、実際に50基原発が動いているのに。※講演は96年

34. 原子炉というのは、止めておいておくことも出来ない。いったん核燃料を入れて運動を開始すると、止めることも廃炉解体も出来ない。

35. 通産省の方に「研究する学生もいないと知っているか」と訊いたら「知っている」と。じゃあどうするのかというと「何もない」。 現場で職人がいないと知っているかというと、知らない。官僚は、いったん決めたことはもう絶対に変えようとしない。議論にも上がらないそうです。※講演は96年

36. まだこれから原発作ろうとか言ってるんですよ。勉強する人もいないし職人もいないのに。原子炉がいかに環境にいいか、どっかで言ってる人がいるんですね。じゃ、果たして一番環境に良いのか。惑わされるんですよね。二酸化炭素も出さない、あれもださないと。※講演は96年

37. 国も電力会社も3年位前※までは、放射能は一切出してませんと通してきた。原発に高い煙突あるでしょう?原発は火を燃やさないから煙突要らないです。 ここから24時間大気に放射能は放出しているんです。果たしてそれがどれ位かというと、国も電力会社も「基準値以下」と言う。※講演は96年

38. 「基準値以下」というのがどういうことかというと、自分たちで勝手に線をつくっているんですね。自分たちが運転するとこれくらい出ると。だからそれ以上に設定する。

39. 原子炉の構内、8km圏内にモニターを置いてます。しかし排気塔は120mあるのでそれらを飛び越えて、全部外に行っちゃってる。 でも「微量だから問題ない」と。微量であろうと毎日蓄積されるんです。10年、20年。火傷みたいなのと違うんです。じわっとボディブローみたいに。

40. 果たしてこれが環境に良いエネルギーかどうか。 野菜にもお米にも、全部原子力発電所から放出された放射能が検出されてるんですね。これは原発を作るとき地元との安全協定の中で、全部発表しなきゃならないんです。びっくりするくらい、検出されてるんです。※講演は96年
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