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水素が次代を占めるか。ドイツ1 [火力発電所]

 富樫事務局長が、次代を見据えたエネルギー問題を提起している。着眼点はドイツだ。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61008980R00C20A7I00000/

ドイツ、水素覇権へ「10年の計」 1兆円超投資
フランクフルト支局 深尾幸生
グローバルViews コラム(国際) 2020/7/6 0:00 日本経済新聞 電子版ドイツが官民を挙げて水素技術の開発に本腰を入れ始めた。政府は6月、「国家水素戦略」をまとめ、新型コロナウイルスからの復興策に1兆円を超える巨額の水素投資を盛り込んだ。再生可能エネルギー拡大と並行して技術開発を進め、2030年以降の世界の覇権を狙う。

国家水素戦略を発表するアルトマイヤー経済相(中)(2020年6月10日、ベルリン)=ロイター
「ドイツは水素技術で世界一になる」。アルトマイヤー経済相は6月10日に発表した「国家水素戦略」についてこう強調した。世界の再生エネ導入を促すきっかけとなった00年の再生可能エネルギー法(EEG)を引き合いに「EEG以来最大のイノベーションだ」と鼻息が荒い。
  水素と聞いて想像するのは燃料電池車かもしれない。ガソリンの代わりに水素を充てんして燃料電池で電気を起こしながら走る。トヨタ自動車の「ミライ」などで日本が先行する。ただドイツでは独ダイムラーが小規模生産している燃料電池SUV(多目的スポーツ車)の生産を年内で打ち切ることを決めるなど乗用車では主流になりそうもない。にもかかわらず、独政府が水素で世界一を目指すのは別の狙いがある。

2050年には温暖化ガス排出ゼロが目標

国家水素戦略はこう記す。
「水素をドイツの脱炭素戦略のカギにすべく、生成から貯蔵、インフラ、利用まですべてのバリューチェーンを見直す」
つまり、電力・輸送・製造分野を貫くいわば「産業の血液」の役割を水素に託そうというのだ。

 ドイツは50年までに二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの純排出をゼロにする目標を掲げる。達成には化石燃料による発電を再生エネに変えるだけでは足りない。まず風力や太陽光などは季節や時間帯による発電量の変動が大きく、現在、調整弁を担うガス火力に代わる存在が必要だ。
 次にCO2を多く排出する分野で技術革新を起こす必要がある。たとえば航空や船舶などの運輸分野で原油由来の燃料の代わりを見つけることや、製造過程に石炭が不可欠な鉄鋼、文字通り石油を使う石油化学で新しい生産法を確立することだ。電気自動車(EV)に代表される電動化は一つの手段だが、長距離・重量輸送や素材生産の代替は難しいとされる。

 独政府は水素がこうした課題を解決すると期待する。電力分野では、再生エネの余剰電力で水を電気分解して水素を作ることで、エネルギーをためたり運んだりする手段とする。電力システムの一部に水素を位置づけ、必要なときに電気や熱をつくる天然ガスなどを置き換える。
 運輸分野では、水素と空気中などの炭素を合成することで化石燃料に代わる航空や船舶の燃料を作る。製造業では、製鉄過程で鉄鉱石を還元して純粋な鉄を取り出すためのコークスの代わりに水素を使い、化学では化学品の原料に利用する。    (この稿続く)
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