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治水対策のあり方をめぐって    ~千葉県のすぐれた事例~(最終回) [小櫃川の水を守る会]

千葉県自然保護連合 中山敏則


*「遊水地をつくったら八ッ場ダムはいらん」

 じつは国交省官僚も、ダムより遊水地のほうが治水効果が大きいということを認識しているという。
 国交省河川局に多数の教え子をもつ今本博健さん(前出)は次のように記している。
《大学の同輩である前田武志君(現民主党参議院議員)が建設省に入省して、栃木県の渡良瀬遊水地に赴任したのですが、その前田君も『遊水地をつくったら八ッ場ダムはいらんやないかという話が、その当時から仲間内では出ていた』と言っていました。このように『八ッ場ダムは必要ない』と国交省自身が30年以上前からうすうす気づいていたにもかかわらず、建設を強行したんです。今にして思えば、彼ら技術者が建設中止を言うべきだったんです。真実を知っていながら方向転換をしなかった。罪深いですね。》(『ダムが国を滅ぼす』扶桑社)
 ようするに、ダム建設をやめて遊水地整備に力を入れたらゼネコンや建設族議員が潤わない。だから、効果が小さいとわかっていてもダム建設をすすめる。総合治水対策もごく一部の流域でしか採用しない、ということである。愚劣としかいいようがない。
 こんなやり方をつづけたら、記録的な豪雨が発生するたびに、どこかで甚大な被害が生じる。戦国武将の治水対策を見習え、と私は言いたい。(完)

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安田純平さんの帰国を喜び合える社会を目指して

2018年10月25日
          日本新聞労働組合連合(新聞労連)
          中央執行委員長 南 彰
 2015年からシリアで拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんが3年4カ月ぶりに解放されました。人命と引き替えに金銭を要求する犯行グループの行為は卑劣で、真実を伝える目的を持ったジャーナリストを標的にすることは言論の自由や表現の自由への挑戦です。新聞労連としても安田さんの「即時解放」を求めてきましたが、同じ報道の現場で働く仲間の無事が確認された喜びを分かち合いたいと思います。
 安田さんはかつて信濃毎日新聞の記者を務め、新聞労連の仲間でした。2003年にフリージャーナリストに転身しましたが、紛争地域の取材に積極的に取り組み、民衆が苦しむイラク戦争の実態などを明らかにしてきました。
 その安田さんや家族に「反日」や「自己責任」という言葉が浴びせられている状況を見過ごすことができません。安田さんは困難な取材を積み重ねることによって、日本社会や国際社会に一つの判断材料を提供してきたジャーナリストです。今回の安田さんの解放には、民主主義社会の基盤となる「知る権利」を大切にするという価値が詰まっているのです。
 安田さんはかつて「自己責任論」について、新聞社の取材にこう語っています。
 「自己責任論は、政府の政策に合致しない行動はするなという方向へ進んでしまった。でも、変わった行動をする人間がいるから、貴重な情報ももたらされ、社会は発展できると思う」
 観光や労働の目的で多くの外国籍の人が訪れ、また移り住むという状況が加速している私たちの社会は、より高い感受性と国際感覚が求められています。そのベースとなるのは、組織ジャーナリズムやフリーを問わず、各地のジャーナリストが必死の思いでつかんできた情報です。

 解放された安田さんに対して、「まず謝りなさい」とツイッターに投稿する経営者もいますが、「無事で良かった」「更なる活躍を期待しているよ」と温かく迎える声が大きくなるような社会を目指して、新聞労連は力を尽くしていきます。

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