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宇部市に石炭火力発電建設計画があり5日夜6時半から説明会 [石炭火力発電所]

10月6日まで山口県に出張がありました。そこで宇部市に石炭火力発電建設計画があり5日夜6時半から説明会があるとのメールがあったので参加してきました。 60万kWを2基2年後から建設するという計画で事業者名は『山口県宇部パワー』、その出資者は大阪ガス、宇部興産、電源開発とのこと、これはちょうど千葉袖ヶ浦火力の出資者と同じで東京ガス、出光興産、九州電力のパターンと同じです。 大阪ガスが電力販売先開拓、宇部興産が土地を提供、電源開発が運転するということで電気はそれぞれの会社で引き取るとの話です。
説明を聞いて興味深かったことを数点紹介します。
1) 電気はそれぞれの会社で引き取るという話ですが宇部興産は自家用火力を所有していて現在でも電気が余って中国電力に買ってもらっているとの宇部興産管理職から聞いている話と矛盾しています。 説明会当日、中国電力取締役が傍聴席に座っていたことから考えても、実際は中国電力に売るということでしょう
2) 山口宇部パワーの副社長は大阪ガス出身でとても若い方で“いかにも自分は出世のレールに乗っている”という高揚した口調で“石炭利用の優位性”を語っていましたが、東京新聞の【平成の言葉】欄の平成27年ノーベル医学生理学賞の大村智さん(80)の記者会見時の言葉と比較して、人間の落差を感じざるを得ませんでした。
***************   大村智さんのことば   **************
【微生物がいいことをやってくれているのを頂こうというだけで、自分が偉い仕事をしたとは思っていない】
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大村さんは土中微生物がつくる化合物から寄生虫駆除に有効な物質を発見、失明を招くアフリカの風土病に悩む3億人の人々を救った功績が評価された。
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  世の政治家・経営者も大村さんのように謙虚で人のためになれることに喜びを見出す人ばかりなら私たち市民はもっと安心、安全で幸福な世に生きられるのではないかと思いましたが皆さんは大村さんの謙虚さをどう思いますか?
●大阪ガスは
http://nihon-taikiosen.erca.go.jp/taiki/nisiyodogawa/
 西淀川公害裁判の記事を見ると被告企業であり、1978年4月20日に提訴、その後20年近くも企業責任を認めず、長い裁判を経て和解となった被告企業です。 判決では“企業の不法行為を認める。”という当時の反省がその後の企業の環境姿勢として生きなかったのは本当に反省してなかったということでしょうか?
●また宇部興産には製品の品質データ改ざん問題があります。https://www.jiji.com/jc/article?k=2018100200927&g=ecoを見ると不正は累計で18件(26製品)に上り、対象製品の納入先は計132社となった。(2018/10/02-17:42)
との記事があり、神戸製鋼同様に信用のおけない会社のようです。
さらに宇部市のホームページには以下の記事があります。
『こうしたなか、1954年(昭和29年)には、宇部興産株式会社副社長の中安閑一氏が「スモッグの街」から緑豊かな街へ生まれ変わったアメリカのピッツバーグ市を視察し、市と企業の発展のためには、ばいじん対策の実施が欠かせないことを「宇部市ばいじん対策委員会」に提言し、社内では「ダスト・イズ・マネー」を合い言葉に、積極的に公害対策に取り組むことになりました。』

先人経営者の前向きな姿勢が書かれています。
しかし、今の宇部興産の計画は先人の意思と思想を忘れたものであり、嘆かわしいレベルに経営理念が低下したということではないでしょうか?
先人は「ダスト・イズ・マネー」を合い言葉に、積極的に公害対策に取り組む
今の社長は先人社長の教訓を忘れ「マネー・イズ・ファースト」を合い言葉に、石炭火力発電建設に取り組む
大阪ガス同様にその後の企業の環境姿勢として生きなかったのは残念です。
この大阪ガスが今度は袖ケ浦に海外から輸入したバイオマス燃料の大きな発電所をつくると言っています。
世間では輸入バイオマス発電はエコに反し地球環境破壊と言っています、一度大阪ガスに説明を求める必要があると考えます。

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治水対策のあり方をめぐって   ~千葉県のすぐれた事例~ [小櫃川の水を守る会]

千葉県自然保護連合事務局長中山敏則さんが機関誌「自然通信ちば」に寄稿された記事がとても興味深かったので中山さんの許可をいただきここに掲載します。
                                    関 巌
   治水対策のあり方をめぐって①
   ~千葉県のすぐれた事例~
                       千葉県自然保護連合 中山敏則
 近年は甚大な豪雨被害が多発している。今年7月の西日本豪雨被害は典型である。しかしその対策は貧弱だ。あいかわらず上流のダム建設と中・下流の河道整備にかたよっている。求められているのは、洪水流を河道に押しこめるやり方をあらため、洪水エネルギーを分散させるなど総合治水対策を推進することである。千葉県ではすぐれた総合治水対策が実施されている。

*「水を治めるものは天下を治める」
「水を治めるものは天下を治める」という言葉がある。戦国時代の名将とされる武田信玄や徳川家康などは治水対策もすぐれていた。
 たとえば家康である。利根川の洪水が江戸におよぶのを防ぐため、家康は利根川の治水対策に力を入れた。その柱となったのは、広大な面積をもつ中条(ちゅうじょう)遊水地である。
 中条遊水地は現在の埼玉県熊谷市付近にあった。遊水地の面積(洪水氾濫面積)は約50km2といわれる。遊水地の下流部には中条堤が築かれた。中条堤の長さは約4km、高さは5mぐらいだ。
 中条遊水地と中条堤は、江戸時代において利根川の治水対策の要(かなめ)となっていた。利根川の洪水を中条遊水地に湛水させ、下流側を洪水の被害から守った。江戸260年の繁栄は中条堤と中条遊水地によって支えられていたといっても過言ではない。
 中条遊水地は明治の末期、利根川の連続堤防整備にともなって廃止された。人工堤防の整備という近代土木技術を過信した明治政府が廃止したのである。1947(昭和22)年のカスリーン台風による東京の甚大な洪水被害は、中条遊水地があれば防げたのではないか。
 武田信玄も、大氾濫をくりかえしていた釜無川を合理的な方法で治め、洪水被害を抑えた。霞堤を築くことによって洪水の流れをコントロールしたのである。霞堤は、堤防を連続させずに開けておき、洪水の一部を堤防の間に遊水させるようにしたものである。
 このように、かつての日本では治水が治世の根幹となっていた。ところが、いまの日本の為政者は治水事業を利権の対象にしている。“金食い虫”の巨大ダムを推進である。だが、ダムは治水にあまり役立たない。むしろ豪雨時にダムにたまった水を緊急放流するため、下流部で甚大な洪水被害をひきおこす。それは、今年の西日本豪雨被害でも実証された。


写真は、徳川家康がつくらせた中条堤。江戸時代は右側が広大な遊水池となっていた。
2012年11月撮影
〔写真1〕中条堤.jpg

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