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治水対策のあり方をめぐって    ~千葉県のすぐれた事例~(最終回) [小櫃川の水を守る会]

千葉県自然保護連合 中山敏則


*「遊水地をつくったら八ッ場ダムはいらん」

 じつは国交省官僚も、ダムより遊水地のほうが治水効果が大きいということを認識しているという。
 国交省河川局に多数の教え子をもつ今本博健さん(前出)は次のように記している。
《大学の同輩である前田武志君(現民主党参議院議員)が建設省に入省して、栃木県の渡良瀬遊水地に赴任したのですが、その前田君も『遊水地をつくったら八ッ場ダムはいらんやないかという話が、その当時から仲間内では出ていた』と言っていました。このように『八ッ場ダムは必要ない』と国交省自身が30年以上前からうすうす気づいていたにもかかわらず、建設を強行したんです。今にして思えば、彼ら技術者が建設中止を言うべきだったんです。真実を知っていながら方向転換をしなかった。罪深いですね。》(『ダムが国を滅ぼす』扶桑社)
 ようするに、ダム建設をやめて遊水地整備に力を入れたらゼネコンや建設族議員が潤わない。だから、効果が小さいとわかっていてもダム建設をすすめる。総合治水対策もごく一部の流域でしか採用しない、ということである。愚劣としかいいようがない。
 こんなやり方をつづけたら、記録的な豪雨が発生するたびに、どこかで甚大な被害が生じる。戦国武将の治水対策を見習え、と私は言いたい。(完)

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