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外務省有識者提言 [国政]

「日本のエネルギー」に関する重要な提言が出されている。長文なので数日に分けて、掲載したい。現時点における遅れた日本のエネルギー政策について、余すところなくその弱点を指摘しているものだ。まずは最初の一文を・・
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000335203.pdf      Kawakami

外務省 気候変動に関する有識者会合 エネルギーに関する提言
気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交の推進を
 
 この提言は、外務大臣の諮問による有識者会合が、国際的な状況を分析し、日本の新しいエネルギー・ 気候変動外交の方向性について議論をし、とりまとめたものである。今回はエネルギーに関して、また、 4月には気候変動全般についての提言を行うこととする。

★ はじめに  
 世界がエネルギー転換に向かう中で、日本の立ち遅れが顕著になっている。  
日本は、東日本大震災以降、固定価格買取制度の導入や電力システム改革の推進などのエネルギー政 策を進めてきた。
一方、気候変動の影響が年々厳しさを増す中で、各国はパリ協定が求める脱炭素社会 の実現に向けて、産業・経済・社会の変革を強く推し進めている。その速度は、日本を遥かに上回って おり、世界との差は拡大している。  

 気候変動をひきおこす温室効果ガスの9割を二酸化炭素が占め、そのほとんどが化石燃料の燃焼から 放出されるエネルギー起源である。もっとも鍵となる気候変動対策は、エネルギー分野の脱炭素化、す なわちエネルギー転換であり、近年、エネルギー効率の向上とともに、再生可能エネルギーの拡大が、 ますます重要となってきた。  

 今、日本は再生可能エネルギーの拡大で先行する諸国に水をあけられ、また、二酸化炭素の排出が天 然ガス火力に比べ2倍程度大きい石炭火力の利用を進める政策が、国際社会の厳しい批判を受けている。
国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)等の国際交渉の場で日本外交の隘路ともなり始めている。  

 このまま脱炭素化をめざす世界の努力と齟齬ある政策を続ければ、エネルギー・環境分野での遅れに とどまらず、カーボンリスクを重視する世界市場でビジネス展開の足かせとなり、国際競争力を損なう 一因となる。  
他方、日本の豊かな自然に根ざす再生可能エネルギーの活用を中心に据え、海外からの化石燃料やウ ランへの依存を減らせば、エネルギー安全保障に貢献し、国内に新しい経済を呼び込むことができる。

 もっぱら化石燃料資源の確保を目指してきた従来のエネルギー外交は、これからは、諸外国ととも に、持続可能な未来の実現を希求する再生可能エネルギー外交を柱とするべきである。 脱炭素化をめざす流れのなかで、まず、世界の現実を正しく伝えるデータと情報に真摯に向き合い、 日本の置かれた状況を謙虚に受け止めることが必要である。
その上で、国も、企業や自治体などの非国 家アクターも、他国から信頼され、枢要な役割を果たすことのできる日本を目指して、エネルギー・気 候変動政策のあり方を議論すべきである。

「エネルギーのことをエネルギーだけで考える時代」は終わった。この提言はそうした議論を進める ための第一歩である。

提言:気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交の推進を
1.再生可能エネルギー外交を推進する  
 1)気候変動対策で世界に貢献し、日本の経済・社会の発展につなげる  
 2)持続可能なエネルギーで途上国の未来に貢献する   
 3)多様な非国家アクターの国際舞台での活動を支援し、協働する

2、エネルギー転換の実現へ、日本の道筋を確立する  
 1)エネルギー効率化と再生可能エネルギーを脱炭素化の中心におく
 2)パリ協定と調和した脱炭素社会へ  
 3)「原発依存度を可能な限り低減する」、この原点から出発する   

3.脱炭素社会の実現をリードし、新たな経済システムを構築する  
 1)日本の潜在力を引き出し、世界の最前線へ  
 2)脱炭素化へ責任ある投融資の推進  
 3)地域分散型エネルギーモデルで世界に貢献する

        (明日に続く)







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