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<鶯(うぐいす)鳴いて春本番> [残土埋立]

本澤二郎の「日本の風景」(5102) 2024/03/15

<鶯(うぐいす)鳴いて春本番>
 上空で、突然人工の楽器顔負けの美しい音色が響いた。二度三度すると、透き通った鋭いさえずりがやんだ。それでも憂鬱な気分を強いられてきた人間は、慌てて鳴き声のする竹やぶの方に目を向けた。快晴の3月11日の自宅前。一羽の鶯が春を告げてくれたのだ。毎年のこととはいえ、やはりうれしいもので、気分が晴れる。

 放射能に魅入られたフクシマはどうだろうか。以前奇形の小鳥を見た気がする。袖ヶ浦市や君津市にはいないだろうか。これからも?分からない。放射能はすべての生き物の細胞を破壊する。

 水源地の一つ、袖ヶ浦市林地区を流れる清流・松川に魚やカニが消えて大分立つ。合流する小櫃川の水道水を取水する河口でシラス漁をして生計を営んできた漁師の石井さんは「数年前からシラスがいない」と嘆く。

 最近、木更津市の武田川にも「魚がいない」と水質問題に明るい区の役員がいることを知った。小櫃川の源流には、東洋一の産業廃棄物処理場がある。そこに1万トン以上のフクシマの核汚染ごみが埋設されたとの毎日新聞の小さな記事を読んだ。4年前のことで「まさか」と震えた。
すると「小櫃川の水を守る会」の役員は「栃木県宇都宮市に降り注いだ大量の放射能汚染ごみが投棄された」と証言する集会に立ち会った。

 林・高谷地区の陣場台には、30メートルの高さの盛り土がそびえている。そこから高い放射能が噴きあがっていることを、3年前に地元の住民が、市の放射能測定器で確認した。平地の10倍の高い値に地元は、恐怖に追い込まれている。

 周囲に住む住民の大半がガン患者で、既に3人が肺がんで命を落とした。しかし、袖ヶ浦市は動かない。

 袖ヶ浦市の事情通は「このあたりの産廃はすべてハマコー系の業者が仕切っている」と断言している。やくざ暴力団が産業廃棄物を牛耳っていることを、大半の市民は知っていたのである。やくざ暴力団に対して、警察・検察・行政が動かない房総半島だった!

その被害を自然も生き物も知っていて、浅はかな人間どもに伝える言葉を持たない、老いてようやく知った無知なジャーナリストは、ひたすら猛省するばかりである。
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