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中村哲さんを偲ぶ [平和]

 「ペシャワール会」現地代表の、中村哲さんが凶弾に倒れて間もなく3年を迎える。生前中村さんが綴った言葉を振り返りその志を伝えたい・・東京新聞の11月5日号に「再読・あの言葉」と題して2012年11月11日の朝刊に掲載された言葉が再度掲載された。今日明日と連載しその言葉をかみしめたい。
                                 kawakami

◆ 郷土の自然こそ「生命線」
 アフガン情勢は混乱の一途をたどっている。
戦火は多くのものを奪った。不寛容な殺伐さが増し、カネと武力が、人と人、人と自然の仲を裂いてきた印象は拭えない。敏い者は機に乗じては巨利を得、時流に乗れない者は取り残され、その声は世界に届きにくい。

 戦いと外国人の干渉は、もうたくさんだ。故郷で家族と三度の食事がとれさえすれば、それ以上のものは要らないー。この無欲な人々の願いこそが「緑の大地計画」も基礎であり、活力の源泉であった。
 無責任な論評で事は進まない。平和とは座して待つものではなく、体当たりで得ることを知った。
時には軍閥や私利をはかる政治家と対決し、時には自らの欲望や怯懦(臆病)と対峙し、天意を汲んで感謝することだ。

 最近、アフガニスタン国軍兵士や警官が外国兵を射殺する事件が激増している。ほとんどが非政治的なものだ。
 二〇〇一年の米軍の「報復爆撃」は、罪のない膨大な死亡者を出した。あの頃、発散した肉親の屍を無表情に集めていた子供たち、空腹で硝煙の中を逃げまどい、両親の肢体に縋り付いて泣いていた子供たち、彼らが今、血気盛んな青年である。
 彼らの心情を思えば、非はいずれにあるのか、断ずるのに躊躇する。剣で立つ者は剣で倒される。真理である。(明日に続く)
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