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『少子高齢化は政府による人災』1 [国政]

 最近の若者は結婚しない、だから少子化になる、などと言う人がいますが、これは個人の問題でなく政府の無策によるものだということが、 『少子高齢化は政府による人災』と題する元国税調査官で作家の大村大次郎(おおむら・おおじろう)氏の論説を読んで全く同感したので要約して紹介します。
   関  巖

 この急激な少子高齢化は、「日本人のライフスタイルが変わったため」と思っている人が多いかもしれません。しかし、それは誤解です。これほど急激な少子高齢化が起きたのは、政治の失策が大きな原因となっているのです。というより、ここ20~30年の政治というのは、わざわざ少子高齢化を招いているとしかいいようがないほど、お粗末なものなのです。

 実は少子化という現象は、日本だけのものではありませんでした。かなり前から欧米でも明らかになっていました。そして、欧米では、日本よりもかなり早くから少子高齢化の傾向が見られていました。が、その後の40年が、日本と欧米ではまったく違うのです。欧米諸国は子育て環境を整えることなどで、少子化の進行を食い止めてきました。欧米諸国のほとんどは、1970年代の出生率のレベルを維持してきたのです。だから、日本ほど深刻な少子高齢化にはなっていません。

 1975年の時点で、日本の出生率はまだ2.0を少し上回っていました。現在は1.4にまで低下しています。欧米では当時すでに出生率が2.0を下回っていました。しかし、欧米ではそれ以上出生率が下がることはなく、現在は出生率は2に近くになっています。

 なぜ先進国の間でこれほどの差がついたかというと、日本はこの40年の間に、子育てを支援するどころか、わざわざ少子高齢化を招き寄せるような失政をしてきたからです。非正規雇用が増えたり、待機児童問題が20年以上も解決されなかったり、大学の授業料を40倍にしたり、子育て世代に大増税を課すなどの愚行を繰り広げてきたのです。その愚行の主なものをご紹介していきたいと思います。

(1)非正規雇用の増大が少子化を加速させた
まず、少子化の大きな要因となっているのは、非正規雇用者の増大です。90年代の後半から、2000年代にかけて、日本は労働政策を大きく転換し、非正規雇用を増やしました。

 1999年には、労働派遣法を改正しています。それまで26業種に限定されていた派遣労働可能業種を、一部の業種を除外して全面解禁したのです。2006年には、さらに派遣労働法を改正し、1999年改正では除外となっていた製造業も解禁されました。これで、ほとんどの産業で派遣労働が可能になったのです。

 派遣労働法の改正が、非正規雇用を増やしたことは、データにもはっきりでています。90年代半ばまでは20%程度だった非正規雇用の割合が98年から急激に上昇し現在では35%を超えています。

なぜ非正規雇用がこれほど増えたのかというと、大企業でつくられた経済団体が政府に働きかけて「非正規雇用を増やせるように」法改正をさせたからなのです。

 安倍総理は雇用を400万人増やしたと言っていますが、増えてるいのはこの非正規雇用です。

 この非正規雇用の増大は、日本の非婚化を促進しているのです。正規雇用の男性の既婚者は4割ですが、非正規雇用の男性の既婚者は1割しかいません。このデータを見れば、日本社会の現状として、「非正規雇用の男性は事実上、結婚できない」ということです。(続く)



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