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JP久留里線存続に向けての意見書 3 [JR問題]

 [地域資源を活かしたストーリー性・連続性のある集客方策について]

 もちろん、事ここに至るまで、JR東日本千葉支社も傍観していたわけでなく様々な経営努力を重ねてきたことも承知している。過去には駅の無人化やワンマンカーの導入などの合理化策、また、資料にある各種の利用促進の取り組みをはじめ、直近では昨年秋のプロレス列車の運行や久留里駅隣接会場での房総地域の歴史ロマン小説「阿久留王」の著者による二日間にわたる講演会、本年春の君津市久留里新酒まつりとタイアップした駅からハイキングなどの仕掛けである。小生も列車を利用し講演会及び新酒まつりにも参加したが、講演会は房総各地に残る歴史的史跡や伝承などの講師の話に聞き入る近隣市はもちろん遠方からのJR利用での来訪者を含め満席であった。新酒まつり当日も、行き帰りの列車は込み合い、久留里駅を降りると各蔵元での新酒の飲み比べや旧藩士邸でのお茶席、街や史跡を散策する多くの来客で賑わいその効果を実感した。

 久留里線沿線には、検討対象区間はもとより、各地域に自然と住民が育む多様な地域資源が数多く存在する。
 特に前述の久留里駅周辺は、今、新旧の飲食や街歩きが魅力的だ。駅前広場には銘水を汲める井戸があり、リニューアルされた酒ミュージアムでは、久留里の蔵元を始め上総八蔵の地酒を試飲できる。
朽ちかけた狭いアーケードをくぐるとマスコミにも登場した素朴な町中華屋が繁盛し、地域の歴史的伝統工芸品である雨城楊枝の教室も覗ける。駅近にはアジアン雰囲気のタイ料理店、独特の田舎の雰囲気とそれぞれの味を醸し出す複数の手打ち蕎麦屋が客を呼び、商人宿を改装したコーヒーとケーキが人気のカフェには若人が集い、少し歩くと新規に開店した紅茶カフェレストランも女性に人気だ。
 この他にも独自の味と雰囲気を持つ食堂、レストラン、カフェが歴史を感じさせる旧街道筋に軒を連ねている。街道からトンネルをくぐり旧藩士が登城したであろう急な坂道を上ると展望が魅力的な久留里城と資料館が存在し、眼下に望める新井白石居住跡、黒田直養公の墓、土屋家の五輪塔などの史跡や寺院をめぐる旧城下の街歩きも同好者の興味を誘う。さらに足を延ばすと、周辺にはキャンプ場や新鮮野菜・果物等の直売・観光農園なども点在する。

 平山駅に下ると、知る人ぞ知る昔ながらの味を頑固に守る焼きそば屋がある。
上総松丘駅では、駅周辺の集落を抜け日本の原風景と言える山間の農村地帯を行くとSNSで人気で遠方からの客が列をなす村のピザ屋と蔵を改造した釜めし屋にたどり着く。
 終点の上総亀山駅から歩き出すと、日本一遅い紅葉で知られた人造湖の亀山湖、笹川湖があり、三石山やインスタ映えで有名な濃溝の滝(亀岩の洞窟)を繫ぐと絶好のハイキングコースで、秋の紅葉、桜の春、新緑の初夏と季節を問わずに魅力を堪能できる。濃溝の滝まで足を延ばすと帰路の足が心配だが、鴨川から千葉方面に向かう高速バス(カビ―ナ号)に君津ふるさと物産館のバス停で乗車しそのまま千葉方面に向かうもよし、久留里の駅近で降車し久留里駅から再び列車に乗り換えることも可能で小生も同様に利用した。

 また、周辺には独特の色合いの温泉を楽しめる特徴ある施設が存在する。
亀山温泉は、房総ではお馴染みのヨード分を含んだチョコレート色の源泉かけ流しで、宿泊宿はもちろん、日帰り利用やグランピング施設もある。濃溝の滝近くの濃溝温泉千寿の湯も源泉かけ流しで重炭酸ソーダ泉の日帰り施設だ。さらに、亀山からは徒歩では若干距離があるが、久留里からデマンドタクシーを利用すると緑の山に囲まれた素朴な温泉宿七里川温泉にたどり着く。小生は、小グループにて近くの石尊山に登り露天風呂もある硫黄温泉で疲れを癒したことがある。

 上り列車で木更津方面に向かい馬来田駅で下車すると、うまくたの道は万葉の歌碑が設置され、季節によっては菜の花やコスモスが咲き湧水で有名ないっせんぼくにたどり着く、その先にはいくつもの特徴あるブルーベリー園が摘み取り客を待っている。
 さらに東横田駅では、イルミネーションなどイベント開催時期に東京ドイツ村に徒歩で向かう若者が列を成す。ドイツ村からは頼朝伝説に登場する万騎坂や市原市境の御所覧塚も近く、そこから鎌倉街道を行くと、国史跡の山野貝塚や袖ケ浦公園を経由して内房線の袖ケ浦駅、長浦駅へのハイキングも可能だ。
 この他にも、沿線地域には民話や伝説に基づく寺社や史跡、山城などが多数存在し、乗客を誘導する地域資源は豊富だ。

 しかし、これらの地域資源も単独では集客効果が限定的で、収益を改善し得る効果を生み出すためには、個々の魅力を繋ぎストーリー性を持たせるとともに、これまでのように単発でなく、四季折々に連続的・定期的に仕掛けることが大事だ。また、再三指摘されているとおり、現行のイベント列車は久留里駅までの限定的な運行となっているが、これを上総亀山駅まで延伸させるとともに、折角の魅力ある地域資源の利用を阻害している久留里・上総亀山間の便数削減も見直し、地域住民のみならず潜在的な観光客などを掘り起こすために利用しやすい便数に復活させることも検討すべきだ。

 さらに、駅からの回遊性を創るためのコミュニティバスやタクシーなど他の交通機関との連携やレンタサイクルの充実も図るべきだ。久留里駅に設置されたレンタル自転車も、内外への多様な発信による周知方策の充実と地域や事業者の協力を得たモデルコースの設定などのさらなる工夫が必要である。
民間とのコラボで、閉校した学校施設等の利活用も考えられる。さらに、何度でも乗り降りできる一日周遊券や、列車でのイベント参加者へJR関連施設は無論のこと地元商店や施設等でも利用できるポイント還元策とその周知方法の充実も検討すべきだ。加えて、恒常的な列車利用者も大切にし、行政の協力の基に駅近の公共施設や遊休土地などを活用した無料の駐輪・駐車場を各駅へ整備するなど便宜を図っていく必要もある。

 以上これまで述べてきた沿線地域の魅力や多様な地域資源、JR東日本千葉支社が実施している施策や仕掛け、自治体の取り組みなどについて、沿線住民だけでなく全国、外国人に向けても発信できる手段として、スマホやパソコンでいつでも検索出来るユーチューブ動画配信による久留里線専用チャンネルを設けるとともに、一般の人への投稿も呼びかけると認知・周知度は格段に向上すると思う。
(つづく)


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