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「水と安全はタダ」ではなくなった 4 [水の問題]

 今日は料金値上げの問題を具体的にお知らせする予定でしたが、私たちの試案の正確性を期すために、担当と連絡を取り、その確認の上で報告したいと思います。人事異動直後なので、来週中にお会いできるよう申し入れてあります。その確認の上お知らせいたしましょう。

 今日はもう一つびっくりすることをお知らせします。袖ケ浦のHPに書かれていますが、平成29年度から具体的水道運営の一部はすでにヴェオリア・ジェネッツ(株)という会社に委託されています。業務内容は検針と料金徴収です。

この会社は何を隠そう、世界最大の水企業である、Veolia Water(ヴェオリア・ウォーター)フランス・・全世界で1億7000万人に上下水サービスを握っている問題の企業(このブログの1で紹介済み)の日本法人です。この会社は、コンセッション方式第1号として浜松市との契約が成立し2017年から2038年3月までの契約を締結しています。21年間の契約です。公営に戻すには莫大な違約金支払い義務があることを当事者は知っているのでしょうか。

 フランスでは、この会社による民営化で、24年間で水道料金が265%値上がりし、パリをはじめとして再公営に切り替える状況が続いています。またこの会社の社員が、安倍政権の「水道法」政策立案に加わっていたことが国会論議で明らかになっています。(福島みずほ議員)

 ここに、再度公営に戻し、水の新たな管理制度を創り上げた、パリの副市長であった「アン・ル・ストラさんの発言を紹介しておきましょう。

◎ 市民が誰でも参加できる「公共の水」へ
アン・ル・ストラ(前パリ副市長・前オー・ド・パリ代表)

 私は2001年から2014年までパリ市議会議員で、2008年からは副市長、2010年からは公営事業体である「オー・ド・パリ」の代表も務めました。

 パリ市では、1985年から世界的な水企業であるスエズ社とヴェオリア社それぞれの子会社2社に、配水から給水までの業務を委託していました。しかし、経営は非常に不透明で、パリ市がきちんと監督に入るような体制にはなっていませんでした。
 毎年、事業者から報告書は提出されていましたが、そこで報告された内容よりも実際はもっと利益があったのではないかと私たちは考えています。水道関連の工事はグループ会社に発注されていて、実際よりも高い金額を請求していたという元社員からの証言もあります。また、公的な観点から公共事業の管理ノウハウが失われるという問題も指摘されていました。

 2008年、パリ市では、ドラノエ氏が市長選の公約に水道事業の公営化を掲げて再選。さまざまな議論を経て、2010年からは公共事業体として設立された「オー・ド・パリ」が取水からカスタマーサービスまで、水道事業すべてを担うことになったのです。

 「オー・ド・パリ」は完全に公的な存在で、利益はすべてインフラの再整備や水道料金の値下げに再投資する形で循環しています。「水道事業の中心に利用者を据える」「水へのアクセスを保障する」など10の目標を決め、その達成を確認する指標も定めています。
 そして、市民が誰でも参加できる「パリ水道オブザーバー」も作りました。再公営化にあたって重要だったのは、組織の監視、運営評価の強化、そしてパリ市民が水道事業のガバナンスに参加することです。「パリ水道オブザーバー」は、「オー・ド・パリ」の幹部と市民がオープンな情報をもとに議論する場です。

 公営化の利点としては、まず水道料金の値下げがあります。財政状態を公開し、透明性を保つことで、経営が健全化されました。民営時代よりずっと収益を上げ、顧客サービスで働く人も増やし、利用者の満足度も非常に高い評価を受けています。

 さらに、家賃を支払うのが困難な方々を支える基金を支援したり、より多くの公共の場で水へのアクセスを保障しています。また、有機栽培農家と連携して生物多様性を守ることや、再生可能エネルギーへの取り組みも行っています。これらは水資源の持続可能な確保に必要なことなのです。こうした長期的な取り組みは、短期的な利益を重視する民間の場合には難しいのではないでしょうか。

 水は事業者に独占権を与えるものです。ほかのものと違って利用者には選択肢がありません。人々が日々利用しないといけないものなので、必ず事業者に収入が入ります。民間企業が公共サービスに参入する唯一の理由は、そこで利益を上げられることにあります。もし、民間事業者が参入すると、みなさんが支払う水道料金の一部は必ず利益として水道事業以外に回されるのです。そういう観点からしても、民営化のメリットは私には見えてきません。フランスは公共サービスの民営化を進めてきた国ですが、パリ市を皮切りに、いまフランスのほかの都市でも再公営化の動きが起きているのです。

※本コメントは、2018年2月18日に東京・永田町で開催されたシンポジウム「みらいの水と公共サービス」(主催:全水道会館 水情報センター)の講演を基にまとめた。
   パル生協機関紙 KOKOCARA 掲載


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