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袖ケ浦の農を語る・田正男氏の講演・その2 [農業]

 国の農業政策を確かめたうえで、この農業政策で袖ケ浦農業はどうなるかを付け合せてみよう。

★ 袖ケ浦農業就農人口と耕作地の実態(2010年・世界農林業センサス)

0,5ha   ・・・・   111 戸  
0,5ha~1ha・・・・・ 320 戸
1ha~ 2ha・・・・・  366 戸
2ha~ 3ha・・・・・ 125 戸
3ha~ 10ha・・・・・ 143 戸
10ha以上 ・・・・・ 7  戸
            972 戸  

 よくこの耕地面積と、戸数を確かめてみてほしい。5年前の統計なのでこれよりまだ減少していることが予想されるが、その実態の中で袖ケ浦市独自の農業政策は、「農業集落排水施設整備」と「合併処理浄化槽設置」しか見当たらない。それ以外は、「農地拡大」も「担い手の育成」も「ゆりの里」も、国の方針通りの政策の具体化で、そのほか市独自の地元農業者のためになる政策というのが見つからないのだ。高齢化問題も含め328haという耕作放棄地が生まれているという実態もあるというのに・・。

 つまり、農地拡大という国の政策をそのまま実行することが、袖ケ浦の就農者にとって、本当に良いことなのかという疑問である。

★ 国の目標は20~30haの農地集約であり、そのために農地を譲ったものに対し「農地集積協力金支給」と「離農奨励金制度」が設定されている。袖ケ浦で農地拡大可能と考えられる農家は、10ha以上の7戸と、頑張って3ha~10haまでとしても、150戸が対象になり、あとは離農せよと勧めているようなものではないのか?
全体戸数の15%程度の農家のための政策、それはそれとして、袖ケ浦市の農業者全体のための政策というのはないものか?

 別な言い方で言えば、講演者が幾度も繰り返し話された、資本主義経済が、企業倫理を投げ捨てて、「弱肉強食」の世界に入っている・・・・だから講演者はその波に乗り『農才と商才』の必要性を説き、力を付けて、勝者になれ!それができないものは離農なさった方がよい・・と説いているのだ・・・それで本当に良いのか?

※ 私事ではあるが、南米に10年間ほど滞在し、移住者支援ボランティアの仕事をしてきた。戦後移住の人たちの移住地であったが、移住40年の奮闘でテーラロシアという肥沃な赤土と、不耕起栽培の普及もあり、1農家耕地面積は200ha~500haという大豆畑が実現していた。この移住地からは、東北大震災の際、100万丁もの豆腐に当たる大豆が、復興支援のために寄贈されている。国の政策の20ha~30ha程度の農地拡大政策で、輸入農業生産物流入の嵐に負けぬ力を日本全体の農業力として、蓄えることができるのであろうか?

★ 政策とは、その地に生きる人たちの生活を、より良くするための仕組みをどう作るのか・・そのことが基盤になるべきであると私は思っている。そのための試みはないのか?そのために、行政は手を貸す意志やアイデァは生まれないものか?(続く) 

   kawakami

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