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肥料高騰で下水汚泥に活路 [農業]

 東灘処理場(神戸市)のリンの生産能力は年間約130㌧に達する
自治体の下水処理場で発生する汚泥を肥料に再生し、地元の生産者に供給する取り組みが広がっている。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに肥料価格が高騰するなか、政府も国内資源の活用策として支援に乗り出す。下水汚泥の資源化が本格化する。

 神戸市は8月、東灘処理場の汚泥を使った肥料「こうべハーベスト」の補助制度を始めた。汚泥には肥料の3要素の1つ、リンが含まれている。水処理施設を手がける水ingエンジニアリング(東京・港)が汚泥から回収したリンを市から調達し、肥料を製造している。
 2015年から扱っているものの、年間出荷量は130トン程度にとどまっていた。市は今夏、肥料のPRと肥料高騰対策として補助制度を導入した。具体的には、市内の農業生産者に10アールあたり8袋分(1袋は3270円)、学校給食用のコメを栽培する生産者に同2袋分を上限に、条件付きで購入費用を全額負担する。販売を担うJA兵庫六甲(神戸市)によると、既に1万2千袋分の申し込みがあるという。

肥料生産.PNG

 農林水産省の調査によると、肥料成分の多い高度化成肥料の22年8月の全国平均価格(20キログラム)は4543円で、前年同月の1.5倍の水準に達している。有害物質が含まれていることを懸念する声があるなど、農家が下水汚泥を使った肥料を積極的に使う機運は乏しかった。化学肥料価格の高騰が農家の姿勢を変えつつある。
 下水汚泥を循環資源として位置づける佐賀市は、化学肥料に比べて大幅に安い価格で販売している。
汚泥の水分量を約80%まで減らした後で菌種を混ぜ、堆肥化施設で45日間、セ氏90度以上の高温で発酵させて製造する。価格は10キログラム20円。単純計算すると、足元の高度化成肥料の100分の1以下で入手できる。化学肥料の代替品として注目が集まり「汚泥肥料を知った農家の方が訪れるようになった」(市上下水道局)。8月の販売量は前年同月比約3倍の137トンに達した。


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