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鴨川のメガソーラー計画 反対運動の今(1) [メガソーラー]

鴨川のメガソーラー計画 反対運動の今(1) 2024/05/21

鴨川の山と川と海を守る会 事務局:川口 訓平

1 転売によって事業者が替わり、現在も未着工
大規模な森林破壊を伴う鴨川のメガソーラー計画は、幸いなことに現在も着工されていません。FIT 認定を 2013 年度に取得、2021 年に運転開始期限を迎えた長期未稼働の典型的なケースです。
2019 年林地開発許可のあと、事業者の内紛で工事施工者が工事計画書を撤回して離反、長らく空白状態が続きましたが、2023 年に事業者の代表が「CES 千葉合同会社」に代わってから、俄かに再開モードを醸しています。
前代表者から FIT の ID と土地の転売を受けて進出したもので「AS 鴨川ソーラーパワー合同会社」という社名は継がれていますが、実体は事業者の交替でした。

2 類例のない乱開発計画
事業地 250ha、森林伐採面積 146ha、パネル 47 万枚(114ha、)約 100MW, 樹木の伐採 37 万本、尾根を最大 60m削り取って、 1320 万㎥の土砂、谷を最大 80m埋め、砂岩・泥岩の平均斜度45度の急峻な沢筋が入り組んだ山地。高低差が 250mもある里
山に、飛行場のような太陽光発電所を造る構想そのものが異様と言えます。県の担当者も前例がない規模だと言っています。
前事業者は「山そのものを切り取るので、山地災害は起きようがない!」と豪語していました。開発による雨水の動きの影響を考慮しないこの計画は、土砂崩れなどの災害をはじめ水害の誘因になることは明らかです。

3 関係法令の整備
太陽光発電所に関連する事故や災害が全国で続発することなどを受けて、2020 年 4 月に、太陽光 40MW 以上は環境アセスが義務付けられ、また 2021 年に林地開発許可審査基準も改正され、現行基準よりも厳しくなりました。厳しくなった基準を以下に示します。
□事業終了後は「森林として原状回復」を促す。
□自然斜面に設置する場合は確実な防災施設を施す。
□パネル設置の地面は、雨水が殆ど浸み込まないという前提で 排水路や調整池を設計すること。
□造成森林の割合を限定して森林率を設定すること。
□尾根筋の森林はそのまま残すこと。
□住民説明会の実施など地域との合意の形成を行うこと。
□景観を極力配慮すること。
以上の新基準を鴨川のケースに当てはめるとすべての点で不合格となり、大幅な設計変更が必要となります。今回の基準見直しは、許可された計画が安全を軽視した計画であることを浮かび上がらせました。
このような関係法令の厳格化の背景には、2018 年 11 月の市原市大桶の太陽光発電用地造成地での土砂災害、2019 年 9 月の令和元年房総半島台風、同年 10 月の東日本台風、2021 年 7 月の熱海市土石流災害、2023 年令和 5 年台風第 13 号の大雨が続くなど、近年の降雨の状況がありました。
残念なことに、40ha 以上の太陽光発電所事業には適用されることになった環境影響評価制度が、制度改正前に許可された 150ha のこの事業には適用されません。
スクリーンショット 2024-05-18 202043.png
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