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ギフト・・ショートショート [原発災害]

 会員の大松右京さんが、楽しいけれど怖い「ショートショート」を贈ってくださいました。7年前の作品だそうです。今も変わりないのですね・・                               kawakami ギフト 2015-06-06 大松右京  円安が続く中で、じわじわと原油が値上がりして行った。原発が停止する中、電力会社は火力発電に頼り、電気料金を何度も値上げして経営を維持していた。  原発の再稼働を進めるには、稼働する事により発生する「核廃棄物」を安全に処理する技術を確立する以外に方法は無かった。そんな中で、新しいボーリング技術が開発された。従来は地下 300 メートルに貯蔵庫を作り、ガラス固化した「核燃料廃棄物」を保管していたが、新しいボーリング技術は、従来よりも短期間で深い穴を掘ることが出来た。  2000 メートルの穴を短時間でボーリング、ガラス固化した「核廃棄物」を保管することが出来るようになり、原発再稼働が始まった。  青森県六ケ所村の地下 2000 メートルに「核廃棄物」が保管され始め、六ヶ所村は補助金を潤沢に貰い、村民は豊かな生活をしていた。  当時から太陽光発電で出来た電気を使い、水の電気分解から「水素」を作り出す技術が効率よく出来るようになり、取り出した水素を使った効率の良い、安価な「水素―水サイクル燃料電池」が売り出され、企業や家庭でも発電が出来るようになり、大手電気会社からの電力購入は下降して行った。当然の結果として原子力発電は採算が悪くなり、一基、二基と廃炉になって行ったが、廃炉に伴う「核廃棄物」は地中深く埋められ続けた。  時は流れ、日本からは原発は無くなり、数基の火力発電所を残すのみとなった。一世紀、二・・・・・と時は流れ、生きている地球の地殻変動は造山活動、隆起、沈下を繰り返していた。 数千年後、日本の北部で造山活動が活発になった結果、数千メートルの山が隆起形成された。  造山活動の研究者が山の頂きの近くに光る無数の金属物体を発見した。ステンレススティールで作られた容器には「危険 高レベル放射能」と書かれていた。 それは過去の原発政策を続けた「悪しき政府」から、未来世代への「ギフト」だった。
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