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自然通信千葉 2 [環境問題]

 今日は「千葉県自然保護連合事務局 」の訴えです。 kawakami



千葉県は35万人の命の水を守れ!
─放射性廃棄物処分場の増設許可取り消しを求める─


 君津市では放射性廃棄物処分場が大きな問題になっている。小櫃川の水源地で新井総合施設㈱が運営する「君津環境整備センター」である。第Ⅰ期処分場で漏えい事故が発生した。にもかかわらず、県は大規模な第Ⅲ期処分場増設計画を許可した。そのため、地域住民は今年(2019年)1月、増設許可取り消しを求めて千葉地裁に提訴した。この行政訴訟はこれまで口頭弁論が3回ひらかれ、県の無責任ぶりが浮き彫りになった。


*35万人の水道水源に放射性廃棄物を埋め立て

 小櫃川は、君津地域の木更津、君津、袖ケ浦の3市に富津市、市原市、千葉市の一部を加えた35万人の貴重な水道水源となっている。農業用水にも使われている。君津環境整備センターの排水は御腹川を通って小櫃川に流れこむ。
 御腹川や小櫃川、地下水が放射能に汚染されたら、君津地域の住民や農業者は深刻な被害をうける。小櫃川の水を利用している千葉、市原の市民も影響をうける。
 君津環境整備センターに搬入されている放射性廃棄物は、2011年3月の福島第一原発事故によって千葉県内で発生したものだ。1kgあたり8000ベクレル以下の放射性物質を含む廃棄物である。
 2012年1月、Ⅰ期処分場から水が漏れ、施設外にある観測井戸から塩化物イオンが検出された。そのため、Ⅰ期処分場は現在も廃棄物の搬入がストップしている。地域住民は、「生活用水や農業用水の水源地に処分場を許可すること自体が危険だ」と激怒している。また、君津環境整備センターのⅢ期処分場が増設されれば、「平成の名水百選」に選ばれている久留里の上総掘り自噴井戸群や小櫃の上総掘り井戸群、農業用水の御腹川、そして35万人の水道水源である小櫃川が放射能で汚染される危険性が高まると危機感をつのらせている。

*行政訴訟と仮処分訴訟

 地域住民は今年1月31日、千葉県を相手どり、第Ⅲ期処分場の許可取り消しを求める行政訴訟をおこした。原告は152人。4月16日、6月28日、9月20日に口頭弁論がひらかれた。第2回(6月28日)と第3回(9月20日)は、口頭弁論の前に千葉市中央公園から県庁前までデモ行進した。
 新井総合施設にたいして建設工事差し止めを求める仮処分の訴訟も6月28日に起こした。3月10日は、訴訟を支える組織として「ふるさとの水を守る会」を設立した。「守る会」には、小櫃・久留里地域の土地改良区7団体、御腹川と久留里地区の水を守る会(久留里地区20自治会)、小櫃川の水を守る会など10団体が加わっている。

*県の無責任ぶりが浮き彫り

 9月20日の行政訴訟第3回口頭弁論では、県の無責任ぶりが浮き彫りになった。
 2012年1月に漏えい事故を起こした第Ⅰ期処分場は、いまも保有水の水位が下がらない。その理由について県は、書面で「現時点では不明である」とのべた。原告側は「漏えい事故から7年もたつのに『現時点では』とはなんだ」と批判した。
 県は、Ⅰ期処分場の漏えい事故対策についてこう主張している。「揚水井戸を設置して水を抜いている。上から水が入らないようにシートも張っている」と。しかし、保有水の水位はいっこうに下がらない。原告側はこう質した。
「上にシートを張り、下の方で水を抜いているのに水位が下がらないのはおかしい。それを『不明』と言うのはどういうことなのか。遮水シートが破れたり遮水工が壊れて、外から水が入っているとしか思えない」
 県側は「これ以上主張するつもりはない」と回答を避けた。遮水工が壊れていると、汚染水が処理場の外に漏れていることになる。そのため、県は「不明」と言いつづけているのではないか。そんな疑いももたれている。

*排水処理施設停止中も放射性廃棄物などを受け入れ
 
 9月9日早朝に襲来した台風15号によって、新井総合施設も停電になった。復旧したのは17日である。その間、排水処理施設が止まった。にもかかわらず、放射性廃棄物などの受け入れをつづけた。この点について、原告側は法廷で「おかしいのではないか」と質した。そうしたら、県側は「問題ないと考えている」と答えた。
 原告側弁護団の及川智志弁護士は、口頭弁論後の報告集会でこう批判した。
「この処分場では、放射性物質や、ダイオキシン、重金属が含まれる毒水をあつかっている。それを処理する施設が止まっている。それなのに、そういう危険な物質を受け入れつづけた。排水処理施設が止まったので、受け入れをつづければ毒水が漏れてしまう。たまたま17日に復旧したが、電源がいつ復旧するかわからないのに受け入れつづける。事業者は住民の命を軽視している。千葉県はなにか言うべきである。『こんなことはやめろ』と指導すべきだ。ところが、県側は『問題ないと考えている』と答えた。これはとんでもないことだ。この点については、今後問題にしたい」

*業者の言い分を鵜呑み

 県は、「(汚染水が)漏れたら処分場外にはださない」と言っている。その方法を質すと、「揚水井戸」と言う。漏れた汚染水をくみあげるということだ。ところが、県が裁判所に提出した書面をみると、業者が県の審議会にだした資料にそう書いてある、とのことである。
 原告側は口頭弁論でこう主張した。「この裁判は業者が被告ではない。被告は県だ。県がどういう許可申請を受けて、どういう許可をしたかが問われている」と。そうしたら、県は「そのとおり」と答えた。
 及川弁護士は報告集会でこう批判した。
「県と業者が一体化しているとしかいいようがない。業者が資料をだしただけで県は『大丈夫です』という。そういう構図になっている」

*県と業者が一体化

 汚染水が処分場から漏れたとしても、久留里駅に汚染水が到達するのは1500年後、と県は試算している。これは根拠がない。久留里地域の地層にくわしい佐々木悠二さんは、「帯水層の最上部に位置する処分場から汚染水が漏れたら、久留里駅には10年ぐらいで到達する」と試算している。
 及川弁護士は報告集会でつぎのようにのべた。
 「県の言い分は、『1500年後はみなさんは生きていないから問題ない』というのと同じだ。こんなバカな話はない。1500年というのもあやしいが、1500年後だったらいいのか。しかも、その根拠について県は『同資料において』と書いている。『同資料』というのは、業者が県の審議会にだした資料だ。ようするに、『事業者は1500年かかると言っている』ということだ。県と業者はまったく癒着、一体化している」

   (千葉県自然保護連合事務局)

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