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館山残土問題 [残土埋め立て問題]

 館山市坂田(ばんだ)に地元住民の反対を押し切って作られた残土処分場が、埋立終了した直後に増設の申請が業者から出されたことに対して、「館山の海と自然を守る会」から県知事に許可しないように求めるよう要望書が出されました。その会からの報告をを掲載します。長文ですがお読み下さい。   関  巌

2016年8月5日—
先日の8月4日、千葉県知事及び森林課、廃棄物指導課(残土対策班)に対し、前回に続き3度目の要望書を提出してきました。

今回の要望も6項目に及びました。
どれも千葉県の行政の進め方に大きな問題点があることには、変わりありませんが、今回は「事業場での産廃の混入」について強く要望してきました。
本来なら、産廃は適正に処分され、残土には一切混ざってはいけないはずです。
ところが、コンクリート片、アスファルト、レンガ片、陶磁器クズ、プラスチック類が、事業場を見た方によると、表面の広範囲に見られる様です。

表面に沢山見られると言う事は、残土の中にも埋まっているのではないでしょうか!

以下に、再々要望書の全文を掲載いたします。


再 々 要 望 書

館山市坂田の残土埋立てに関する申請は、残土条例及び森林法に違反しており許可しないことを、6月30日と7月19日の要望書に、新たに6つの理由を加えて、改めて求めます。

なお、県の審査では事業者の申請を鵜呑みにするのではなく、専門家による現地確認など厳格な調査も同時に再び求めます。

1、条例を死文化させる許可判断をしないために、「条例の不備」を議会で審議するまで許可するべきではない。
 現在まで繰り返し担当課(廃棄物指導課残土対策班)と交渉をしてきましたが、改正された現在の残土条例の解釈には、県の担当課と私たち県民側とに相違があります。

 平成15年に改正された残土条例の目的は、「無制限な事業の拡大を防ぐ」ため、許可期限は3年で、延長しても1年までと決められ、それ以上の事業の延長や拡大が出来ないことを条例に加えたのです。
 これに対して、廃棄物指導課の担当者は「事業終了後、直ぐに同じ場所で特定事業の許可申請をすることは条例で規制されていない」として、「新規申請」であれば、続けて事業が出来るという解釈をしました。

 この解釈が許されれば、無制限な事業の拡大を防ぐとした改正残土条例を事実上死文化させることになります。事業者に都合の良い解釈の仕方というだけに留まらず、これにより残土事業は歯止めが無くなり、野放しに拡大し続けるという問題が全県に波及し、多大な影響を及ぼすことになります。議会が論議の末に条例を改正した意味がなくなってしまいます。

 先の環境生活警察常任委員会で、入江議員が質問した答弁に疑問を抱き、重ねて質問をした河上議員の「繰り返し10年でも20年でも出来るのか」という質問に、「条例上可能です」との答弁があり「そんな条例とは知らなかった」と河上議員は意見を述べていました。条例の解釈の仕方が『おかしい』と感じたのは、誰にとっても明らかです。

 議会で散々議論を重ねて改正された条例の審議の経緯や苦労を、現在の担当課では知っているのでしょうか。知らないとすれば、県議会を無視した勝手な解釈であり許されません。9月に行われる県議会では、担当課の言うように条例に不備があるのか、本当にそういう条例として捉えて良いのかどうか、その「条例の不備」等について県議会の審議を経るまでは、許可をしないよう要望します。特に、9月県議会の議会の審議を前に、廃棄物指導課の条例解釈を既成事実化するために許可を出してしまおうという姑息な対応になることの無いよう、誠意ある対応を強く要望致します。

2、終了していない事業場では、新規申請は不可能なはず

 今回の事業申請は、「前回の特定事業が終了しており、新たな許可申請として提出されているもので、条例上は問題が無い」という説明が繰り返されています。6月24日に行った交渉では、「事業が終了したら路盤材はどう扱うべきか?」を私たちが質問すると、言いよどむこともなく「終了したら撤去するもの」と朝比奈副課長の説明がありました。

 ところが、今(既に2月26日の終了確認通知書が交付されて5か月も経過していますが)でも、路盤材はそのままにされています。これは、終了が未完了だと言わざるを得ません。終了の条件として必要なことを知っていながら、それを知らないふりをしたり、業者の都合でやらなくていいことにしたりすることは許されません。事業終了の手続きは条例の要綱等で決めていることですから、きちんと行って欲しいのです。

 路盤材を撤去しない以上、終了とは認められません。それは、朝比奈副課長が言った通りです。終了していない事業場には、新規申請の受理はありえないはずです。
 これもまた、禁止されている事業延長でも、「新規」で申請すれば、県は受理する。その際、事業終了は書類だけで県は現地確認はしないので、事実上、延長が可能だ、という具体例をつくることになります。これが前例となり、県残土条例の間違った解釈の蔓延を助長することになりかねません。悪いお手本になるので、新規申請の受理はやめてください。

3、残土事業場への産廃混入は、速やかに全てを撤去をすべき。

 残土事業場の中にあった直径20〜30cmはあろうかというコンクリートの塊が写った鮮明な画像を見ても、高橋俊浩副課長は「産業廃棄物のことはよく分からない」と言いました。では、もし、残土事業場の中に産業廃棄物が混入していた場合、廃棄物指導課では、「廃棄物のことはわからない」のでしょうか。残土への産廃の混入を監視して違反事業者は摘発し指導することはないということでしょうか。産廃の混入は産業廃棄物の違法処理であることは明白です。

 千葉県環境生活部が平成27年4月に発行した「産業廃棄物の適正処理について」の中での廃棄物の定義によると、廃プラスチック、金属くず、陶磁器くず、レンガくず、鉱さい、がれき類(工作物の新築、改築及び除去に伴って生じたコンクリート、アスファルト、レンガ等)は、産業廃棄物に規定され事業者が責任を持って処分することが義務付けられており、当然残土に混入されてはいけないはずです。産業廃棄物の写真を証拠として前回の要望の時に提出し、それを確認していただきましたので、直ちに事業者に産業廃棄物を撤去するよう命ずると共に、現在提出されている申請を差し戻してください。

 また、撤去は見えている表層面のみで行えば良い訳ではありません。当該事業地は、残土処分場です。産業廃棄物は、適切な捨て場に処分すべきです。土の中に埋まっている産廃に関しても調査したうえで徹底的な撤去を指導、監督してください。

4、「新規申請」として継続的に同じ場所での特定事業を許可したケースがあるとのことだが、早々にその事例を提示し、見せて欲しい

館山産廃.PNG

 今までの交渉を繰り返している中で、何度か「今回のように、新規申請として同じ場所での継続的な事業を許可期限の3年と延長の1年を経た後に行っている事業場は、他にも有る」と県の担当者は答えていますが、未だその事例を見せてもらえていません。5月から要望を続けているので、これに関しては1週間以内に提示をお願いします。

5、地質学者である上砂正一氏の意見書にある「危険性」が、無いことを立証してほしい
 事業場の近隣は、土砂崩れが多く発生しています。坂田の残土処分場の事業地内でも土砂崩れの発生している箇所があることを現地にて確認し、証拠の写真を提出いたしました。又、事業場のすぐ脇には、木が斜めに生えています。土砂崩れしやすい土地なので残土の埋め立ては危険であると立証した意見書が出されている以上、「その危険性は、こういう理由から安全が証明され、心配する必要がない」と、危険性が無いことが立証されない以上は、安心できません。大雨が降るたびにビクビクしています。
 その立証のためには、別な地質学者の方と共に現地の地質をじっくりと歩いて見て回ることが不可欠です。机上の計算式だけで「構造上、安定している」などというのは、手抜き仕事でしかありません。

6、森林保全部会での部会員からの指摘事項や懸念された内容について、どのように具体的な対策が取られ、対応されたのか、具体的にわかりやすく住民に示して欲しい。
 森林保全部会で述べられていた、様々な心配事の要旨は「土砂崩れの危険性が高いので、慎重に審議をするように」とのことだったと、森林課の担当である林地対策班長が言っていました。では、具体的にはどのように対策を取ることで、その危険性は減るか、あるいは無くなるのでしょうか? 林地開発の許可では、「災害の防止」が重要な基準です。土砂の流出、又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがないことです。県民の安全を守るために部会員の皆さんが示していただいた内容について、対策が講じられるまでは許可をしないでください。


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