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12月議会傍聴記~その9~TPP・FTA・EPA問題を巡って [TPP・FTA・EPA問題]

 もう一件注目すべき陳情があった。今話題のTPP加入をめぐる、農業団体からの反対意見書の陳情であった。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)FTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)いずれも関税撤廃による貿易の自由化に係る国際協定である。特にTPPは例外品目を認めず100%の自由化ということで、たんに物品にとどまらず、金融、、土地売買、知的財産権等々一国の経済に関する一切の活動を含んでいる。話題になっているのは主に農業だが、一国が他国の経済支配下に置かれる危険性を含んだ協定ともいえる。実際にこのことで、大統領追放運動が起きた国さえあるのだ。

 農水省の発表では、関税撤廃によって農業の受ける被害は4兆1千億円に登るであろうという。一方経済産業省は8兆円の輸出増加が見込まれるそうだ。さらに千葉県で言えば、米作90%減、酪農はほぼ全滅。野菜農家のみが、かろうじて生きのこる程度か・・・という県の発表である。ご自分も米作に携わっている陳情人はこの協定が結ばれたならば、現在40%の食料自給率が14%程度まで落ちるであろう事を含め、その危険性を切々と訴えていた。

 この陳情説明に対し、吉岡議員の質問は、何の為に食料自給率を上げねばならぬのか?自給率を上げることに、大して意味がないのではないのか?戦後は自給率100%であったけれど餓死する人がいた。現在北海道は123%の自給率で、東京は1%に満たない状況であろう。それでも食糧は溢れている。たりなかったら輸入すれば済むことではないのか?という趣旨であった。また、農業従事者は品質向上で競争に打ち勝つ努力をすべきではないのか?という質問もあった。

 陳情人は食料自給の問題は一国の主権に関わる問題であること。現在世界中の飢餓人口は8億とも10億ともいわれ、外に食糧を求めることは、そのまま飢餓人口の増加につながることなのだということ。さらには競争力と言っても、生産コストが現在11200円かかる日本の現状と、3500円ですむ中国と、どう競走せよというのか。また一戸あたりの耕作面積でも、日本の米作農家の平均が2haであるのに対して、米国は200ha、オーストラリアは3000haという規模の違いを考えていただきたい・・と続けた。

 遺伝子農業、過剰な農薬等の食料の安全性の問題など、まだまだ問題点は多様に存在する。それらのことも含めて、利益追求の立場にたち協定推進をすすめたい財界発言と、日本の食の安全と量をどのように確保していくのかという国の主権侵害のおそれさえあるTPP協定を、どのように考えるのか。私たち自身の問題として捉えたいものだ。採決結果は、幸いなことに5対2で採択になった。採決に際し、正確に賛否の議員名を把握できなかったので、数字だけで留めておく。それにしても、メディアに踊らされたような質問内容に呆れ、こういう議員が袖ケ浦市の議員として、存在していることに恥ずかしい想いがしたものである。

                                   フリーウオッチャー

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